第四話 後継

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 私は、超高振動を最大出力に引き上げ、カエデの頭部を吹き飛ばした。    * 「説明してもらおうか」  ブリーフィングルームには、アシュラムと数名のエンジニア、そして武装した警備員がいた。  私はアンドロイド用の拘束具に動きを封じられ、指一本動かせない状態でその場に固定されていた。 「私には説明出来ない」 「ではこの映像はなんだ?」  アシュラムが指を鳴らすと、壁面に兵士が爆死した映像が流れた。あの空間で私が再生した映像だ。 「この映像を観てから、カエデの行動に変調が見られた。この映像は、お前が失敗した戦場で記録したものだな?」 「ああ、そうだ」 「なぜその映像を流した」 「私には説明出来ない」 「お前以外の誰が『説明』とやらを出来るんだ?」  アシュラムは足を組み、タバコに火を付けた。 「それともう一つ。カエデの頭部に傷を付けるなと命じたはずだが、お前はそれを守らなかった。これについての弁明を聞こうか」  そう。  あの時、私は確かにカエデのリミッターをナイフで貫いた。  だがカエデは動きを止めなかった。  それどころか、瞬時にフル武装を纏い、私に格闘戦を挑んできた。  闘いは熾烈を極めた。  何せ相手は最新鋭機だ。私の経験値がなければ、破壊されていたのはこちらだ。     
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