第16話 「痛み」

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第16話 「痛み」

○ 地球・ヴェネチア・屋根の上 マレイア、左手でムチを振っている。 リーザ、ピューマ型に変形し、ムチを避 けている。 マレイア「いつまで避けれるかしらね」 リーザ「さぁ? 私たちに体力なんてないし ね」 マレイア「そうよねー。でもあなたは私たち に攻撃できない。そうでしょ?」 リーザ「よくご存じで」 マレイア「じゃあ、じり貧で私が勝つわね!」 リーザ「それはどうかな」 クロエがを構えたまま、空から降りてく る。槍がマレイアの左腕を貫く。着地す るクロエ。吹っ飛ぶマレイアの左腕。赤 色のオイルが噴水のように吹き出る。 マレイア「ギャアァァァァ!!」 リーザとクロエ、マレイアの悲鳴に驚く。 クロエ、リーザの隣に来て、 クロエ「どういうこと!?」 リーザ「痛がるフリはやめて」 マレイア、肩で息をしながら、 マレイア「はぁはぁ……。あら、言ってなか ったかしら……。ああ、言う機会なんてな かったわね……」 リーザ「……まさか!」 マレイア「そうよ……。私たちは痛みを感じ ることができる……。あなたたちが捨てた 痛みをね!」 リーザ「どうして……」 マレイア「どうして? そんなことも分から ないの?」 リーザ、苦虫をかみつぶしたような顔に なり。 マレイア「(ニターッと邪悪な笑みを浮かべ) 痛みを知らないと、相手をなぶる時に、面 白くないじゃない」 リーザ「そんなことのためだけに……」 マレイア「あらぁ重要なことよぉ。痛みが分 からないとね、イジメがいもないじゃない。 相手が苦痛を感じてる時に、それを想像で きるのも痛みを知っているから分かるわけ だしねぇ」 リーザ「狂ってるね」 マレイア「私から見たら、あなたたちの方が 狂って見えるけどねぇ。わざわざ痛覚を捨 ててまで闘うなんてねぇ。それで人間って 言えるのかしらねぇ」 リーザ「くっ……人間のフリをしているお前 たちに言われたくはない……!」 マレイア「フフ。傍目から見たら、どっちが 人間に近いかしらね」 クロエの声「(大声で)うーん、分からない !」 リーザとマレイア、大声に驚く。 クロエ「難しい話はよく分かんないや!」 と、槍を構え直し、 クロエ「君を倒してからゆっくり考えるね!  リーザは(後方で待機しているサイボー グたちをチラッと見て)あの子たちを頼む よ」 リーザ「う……うん、了解した」 リーザ、サイボーグたちの方に向かう。 マレイア「はぁ……これだからオツムの悪い 子は嫌なのよねぇ。イジメがいもないし」 クロエ「イジメがいがなくて悪かったね」 マレイア「本当。私の妹はイジメがいがあっ て、楽しいのに。あなたとチェンジしたい わぁ」 クロエ「私を倒してからすればいいじゃん。 倒せればの話だけどね」 マレイア「そうねぇ」 マレイヤ、吹き飛ばされた自らの左腕を チラッと見る。 握られていたムチだけがかすかに動いて いる。スルスルといった感じ。 マレイア「武器も失った私に勝てるかしらね ぇ」 マレイア、ニヤリと笑う。 ○ 同・南極・南極昭和基地近辺 ユリア、ティーカップを置き、 ユリア「あー、美味しかったー!」 ペロメ「そうですか……。それはよかったで す」 ユリア「もう美味しいから、三杯も飲んじゃ ったよー」 ペロメ「(水筒を揺らしながら)すっかり空 ですね」 ユリア「だねー。さてと……」 と、立ち上がり、 ユリア「食後のあとは運動しないと――ね!」 と、ハンマーをペロメに向かって振り下 ろす。 ペロメ「!!」 すんでの所で避けるペロメ。 粉々に破壊されるテーブル。 ペロメ「(着地し)何するんですか……!」 ユリア「食べたあとは動かないと! いや、 飲んだだけ? まあ、なんでもいいや!」 ユリア、ニヤリと笑い、 ユリア「さぁ、武器を出しなよ! 私は闘う ためにここに来たんだからさ!」 ユリア、ハンマーを構えながら、ペロメ に向かってジャンプ。 ペロメ「(今にも泣きそうな表情で)ひどい です……。ノア様からもらったテーブルが ……」 ペロメ、傍に置いてあった大盾を構え、 隠れる形になる。 ユリア、大盾にハンマーを振り下ろす。 ガッキーンという衝撃音が響き、衝撃が 辺り一面に走る。積雪が舞い、吹雪のよ うに。 サイボーグの男たち、吹っ飛ぶ。 サイボーグ男たち「わぁ!」 ユリア、勝利を確信した笑み。だが、違 和感を感じ、眉をひそめる。笑顔が消え、 驚きの表情に。 ユリア「え!」 ペロメの大盾がひとつも傷がついていな い。 ペロメ、雪に少し埋もれ(空洞がある)、 大盾を背中で受け止めている。立ってお らず、三角座り。 ペロメ「もういいもん……」 と、懐から一冊の本を取り出す。ルイス ・キャロルの『不思議の国のアリス』だ。 ペロメ、適当なページをめくり、読み始 める。 ペロメ「これ、読んでるもん……」 ユリア「(大盾を睨みながら)こんなもの!」 ユリア、ハンマーのブーストを吹かし、 何回も大盾を叩く。 ペロメ、衝撃や音が聞こえないぐらい集 中しているのか、夢中になって本を読ん でいる。 ユリア「かった! ねぇ! みんな! 手伝 って!」 後方でボーッと見ていたサイボーグ男た ちに叫ぶユリア。 サイボーグ男2「私たちにできることなんて ――」 ユリア「この盾をなんとかして! 引き剥が すとか!」 サイボーグ男2「それなら――!」 四人のサイボーグ男たち、ユリアの傍ま で行き、ペロメの盾を四人がかりで引き 剥がそうとする。 が、まったく動かない。 サイボーグ男3「重すぎる……」 サイボーグ男4「びくともしない……」 サイボーグ男5「ぐぬぬ……」 ユリア「あーもう! 役立たずーー!! どい て!」 ユリア、乱暴にサイボーグ男たちを振り 払い、思いっきりブーストを吹かしなが ら、ハンマーを振り下ろす。 ガッキーンという音。衝撃。ミシミシと いう何かが割れる音。 ユリアのハンマーにヒビが入り、粉々に なる。 ユリア「えっ……ルナちゃん……?」 粉々になったハンマーを見ながら、 ユリア「(乾いた笑い)ハハハ、ルナちゃん が壊れちゃった……ハハハ…………なんで よ、なんで壊れちゃったのよー!」 ユリア、素手のまま両腕で大盾を叩き始 める。何回も何回も。腕のほうが衝撃に 耐えられず、ショートし始める。 サイボーグ男たち、ユリアを止めようと するが、 ユリア「放っといてよ!」 と、サイボーグ男たちを振り払り、大盾 を叩く。 ユリアの両腕がバラバラになる。 ユリア、肘から先がなくなった腕を見て。 ユリア「(乾いた笑い)ハハ……腕もなくな ちゃった……」 サイボーグ男たち、おとなしくなったユ リアを抱くようにして連れて行く。 一人残されたペロメ。 ペロメ、大盾から顔だけをひょっこりと 出し、運ばれていくユリアを見ながら、 ペロメ「少しやり過ぎたかな……(首を左右 にブンブンと振り)ううん、私悪くないも んね。先に手を出したのは向こうだし……」 ペロメの手の甲に涙が落ちる。 ペロメ「あれ……なんでだろ……なんで泣い てるんだろう……わたし……」 ○ 同・フランス・ベルサイユ宮殿前 イレーネ、ランスをカインに向かって突 く。 カイン、難なく避ける。 カイン「おやおや、どうしました? 動きが 遅くなっていますよ」 イレーネ「……わかってるわよ」 イレーネ、突く。 カイン、難なく避ける。 カイン「(ニヤけながら)背中に受けたダメ ージが響いているんでしょうねぇ」 イレーネ「ご丁寧に説明どうも!」 イレーネ、強めに突く。 カイン、難なく避ける。 カイン「(ニヤけながら)いつまで続くでし ょうねぇ」 カイン、両斧をイレーネに向かって振り 下ろす。 イレーネ、後ろに避け、距離を取り、ラ ンスを投げようとする。 カイン「そんな直線的な攻撃」 イレーネ、ランスを投げずに、盾をフリ スビーのように投げる。 カイン「なっ」 カイン、避けようとするが、盾の大きさ に対応できず、まともに受ける。 ベルサイユ宮殿に吹っ飛んでいくカイン。 イレーネ、ランスを構え直し、飛んでい くカインに向かって突進しながら、 イレーネ「盾だって投げられるのよ」 ○ 同・同・ベルサイユ宮殿内 内装はきれいなままで、豪華絢爛。 全ての美術品は置いておらず、展示台だ けが残っている。 壁をぶっ飛ばし、入って来るカイン。盾 は受け止めたまま。 ほぼ間髪を入れず、イレーネも入って来 る。姿勢を低くし、ランスで突進しなが らである。 カイン「クッ」 カイン、力尽くで強引に、盾を地面に押 さえつけ、衝撃を吸収させようとする。 ガリガリと盾が地面をえぐり、ブレーキ 代わりになり、カインの動きが止まって いく。 カインが顔を上げると、突進してくるイ レーネがほぼ目の前に。迫るランスの先。 カイン、イレーネの盾でランスの突きを 防ぐ。 ガッキーンという音が、ベルサイユ宮殿 内に響く。 イレーネ「くっ」 ランスの先にヒビが少し入る。 イレーネ、背後に飛び、 カイン「お返ししますよ」 カイン、イレーネの盾をフリスビーのよ うに投げる。 イレーネ、着地と同時に飛んできた盾に 対応できず、まともにくらう。 ベルサイユ宮殿の壁を突き破り、吹っ飛 ばされるイレーネ。 ○ 同・同・ベルサイユ宮殿前 吹っ飛ばされているイレーネ、地面を背 中でえぐりながら滑っていき、止まる。 カイン、イレーネを吹っ飛ばす時にでき た穴から、ゆっくりと出て来る。 カイン「(イレーネに近づきながら)まさか 盾を投げるとは思いませんでしたよ」 イレーネ「(盾を杖代わりにして、立ちなが ら)そうでしょうね。私も初めての経験よ」 イレーネ、カインが両手に持つ両斧をチ ラッと見て、 イレーネ(M)「戻って来る斧……あれがや っかいね……」 イレーネ、カインの腹部を凝視して、 イレーネ(M)「投げたあと懐に飛び込むと いうのもあるけど、その場合は背後を気に して戦わないといけない……。それは危険 すぎる……。気にしないで戦う方法は――」 カイン「さて、そろそろ終わりにしましょう かね。名残惜しいですけど」 カイン、両斧を投げようと、両手を振り かぶる。 イレーネ、ニヤリと笑い、 イレーネ「あれしかない――か」 カイン、両斧を、イレーネに向かって投 げる。 イレーネ、左右にかわし、両斧を避け、 ランスをカインに向けたまま走る。 カイン「はぁ……何か策があるかと思えば… …あなたにはがっかりですよ」 イレーネ「それはどうかしらね」 カインの斧が急転回をし、イレーネの背 中に向かって飛んでくる。 ふたつのカインの斧が、イレーネの背中 に刺さる。 イレーネ「グッ……でもこれで――!」 イレーネ、斧を背中から抜かずに、カイ ンに向かって走り続ける。 カイン「!!」 イレーネとカインの距離が縮まる。 イレーネのランスが、カインの腹部を貫 く。 カイン「グ……なるほど、考えましたね」 イレーネ「刺さったままなら戻せないでしょ」 カイン「でも――この距離なら戻せますよ」 イレーネ「!」 カインの両斧がイレーネの背中から抜け、 カインの手元に返る。 カイン、両斧をイレーネに向かって振り 下ろし、 カイン「惜しかったですね」 両斧がイレーネに迫ってくる。 思わず両目をつぶるイレーネ。 バンッという一発の乾いた発砲音が響く。 カイン「間に合いませんでしたか……」 イレーネが両目を開けると――。 カインの肩から下、左腕がない。肩付近 から赤色の人口オイルが吹き出ている。 左腕はカインの後方に吹っ飛んでいる。 間髪を入れずに、振り下ろされていた右 斧の攻撃は、イレーネの体を袈裟切り。 黒色のオイルが飛び散る。 イレーネ「グッ……」 イレーネ、ランスを引き抜き、カインか ら距離を取り、背後を見る。視線の先は 荒れ果てた高層ビル。 イレーネ「ナイスタイミング……」 ○ 同・同・高層ビル屋上 スナイパーライフルのスコープを覗いて いるサイボーグ女。 カインの左斧が飛んでくる。スナイパー ライフルが破壊され、サイボーグ女の首 も跳ねられる。 崩れ落ちるサイボーグ女。 ○ 同・同・ベルサイユ宮殿前 イレーネ、抉られた胸の傷から黒色のオ イルを流している。指を動かそうとする が、まったく動かない。呼吸も荒い。 イレーネ(M)「動力部をやられたわね……」 カイン、吹き飛ばされ、肩から下がなく なった左腕を見ている。傷口からは赤色 のオイルが流れている。 カイン「これでは戦闘の続行は不可能ですね」 イレーネ、流れている赤色のオイルを見 ながら、 イレーネ「悪趣味ね……。わざわざ赤色にす るなんて」 カイン「私はそれに関してはあまり気にして いないんですけどね。それよりも」 イレーネ「ん……?」 カイン「あなたがなぜ闘っているのかのほう が気になりますね」 イレーネ「そう……」 カイン「ええ。なぜ人間を捨ててまで、そし てなぜそこまでの傷を負いながら闘うのか。 そちらのほうが気になりますよ」 イレーネ、自嘲の笑いを浮かべながら、 イレーネ「人間は完全には捨ててないわよ」 カイン「おっと、失礼しました」 イレーネ「フン。そうね。私が闘っている理 由は――」 幼いイレーネに手を差し伸べている幼い クロエの笑顔。 イレーネ「命の恩人の夢を叶えたいからかな ……」 カイン「へぇ、そこまで大切な人がいるので すね」 イレーネ「分かったふりしないで。ロボット のあなたたちに分かるわけないでしょ」 カイン「んー、どうですかね。私にも大事な 弟はいますし」 イレーネ「そうプログラムされているだけで しょ」 カイン「そうだとしても、大切な弟には変わ りないです」 カイン、安らかな笑顔を浮かべる。 イレーネ、乾いた笑いを浮かべながら、 イレーネ「はぁ……ほんと精巧に作られてい て、嫌になる……」 カイン「私にそう言われましてもねぇ」 カインの左斧がイレーネの背中に迫る。 イレーネ、難なく避ける。 左斧がカインの手元に返る。 カイン「さすがに当たりませんか」 イレーネ「忘れてないわよ」 カイン「お互い休戦としませんか」 イレーネ「――いいわよ。正直、こっちも困 ってたから」 カイン「契約成立ということで」 ○ 同・エジプト・ギザの大ピラミッド前 サラとアベルが互角に戦っている。アベ ルはサラのレイピア突き攻撃を、最小限 の動きで避け続け、サラはアベルの鋭く 素早い拳の突きを、最小限の動きで避け 続けている。 アベル「(笑顔で)ヘッ! やるな!」 サラ「(笑顔で)そっちこそ!」 彼らの闘いに手を出せずに呆然と見てい るサイボーグ女4と5。 サイボーグ女4(M)「す……すごい」 サイボーグ女5(M)「私たちが間に入るス キもないじゃない……。これが番号つき… …」 サラ、アベルの拳を避けながら、 サラ(M)「さてと……どうしたものかな。 このままではキリがない」 アベル、ひたすら拳を突き出してくる。 サラ、避け続ける。 サラ(M)「お互い体力には際限もない」 サラ、足元を見る。砂だ。 サラ(M)「これで足を取られる可能性もな くはないけど……」 アベル、拳を突き出してくる。 サラ、避け続ける。 サラ(M)「いや、これだけやっていて一瞬 の隙もない。可能性は五分五分だけど…… 試してみる価値はある!」 サラ、右足で砂を蹴り上げる。 砂ぼこりがアベルの顔面を襲う。 アベル、まともに食らい、 アベル「クッ……目に砂が……」 アベルの攻撃が止まる。 サラ、その様子に少し驚き、後方に飛び、 アベルから距離を取る。 サラ「なるほどねぇ……。はぁ……見た目だ けが人間とそっくりというわけではないの か。やりにくいね」 アベル、目をこすり、涙目になりながら、 アベル「せっこいまねをしやがって……」 サラ「しかも涙まで流せると……。はぁ、ま すますどっちが人間か分からなくなるね。 聞いていいかい?」 アベル、目をこするのをやめ、 アベル「なんだよ」 サラ「君の他にそうやって痛みを感じれる者 はいるのかい?」 アベル「ああ? 何でそんなのが聞きたいん だ」 サラ「個人的な興味さ」 アベル「――まあ、減るもんじゃないし、教 えてやるよ。(数えるように指を出しなが ら)まずは俺の兄貴。兄貴にはない。で、 いけ好かないスラシールって奴もない。あ とは全員ある」 サラ「へぇ……あるほうが多いんだね」 アベル「それぞれ理由はあるだろうけどな。 そこまで俺は知らない」 サラ「君はどうなんだい?」 アベル「理由? それはあれだ。痛みを知ら ないと強くなれねぇだろ」 サラ「――どういう意味だい?」 アベル「喰らったら痛いから、相手の攻撃を 避けるように努力する。痛みを知らなかっ たら、避けようともしないだろ」 サラ「(自嘲の笑いを浮かべ)確かに。そう いうとこはあるね」 アベル「だから俺は痛みというものをプログ ラムしてもらったのさ。あるじにな」 サラ「あるじっていうのはノアのこと?」 アベル「ああそうさ。まあ、俺も最初は痛覚 なんてなかったんだけどな……」 アベル、過去を思い出すような遠い目を している。 サラ「?」 アベル「まあ、それはまた別の話だ」 サラ「ぜひ聞きたいねぇ」 アベル「はっ。これは箝口令が出てるんでな。 話せねぇよ」 サラ「そう。じゃあ、ボクが勝ったら教えて くれるかな」 アベル「勝てたらな」 サラ「約束だよ。で、最後にもうひとつだけ」 アベル「あっ?」 サラ「君に大切な人はいるかい?」 アベル「愚問だぜ、その質問は。カインの兄 貴に決まってるだろ」 サラ、笑顔で子どもたちと遊ぶエマのこ とを思い出しながら、 サラ「フフ。ほんと君たちとボクたちの違い はなんなんだろうね」 アベル「ああ?」 サラ「君に敬意を表して」 と、握っていたレイピアをその場に落と し、ファイティングポーズを取る。 アベル「……何のまねだよ」 サラ「ボクも素手でやることにするよ」 アベル「へえ、面白え!」 アベル、戦闘態勢を取る。 対峙する二人――。            (第16話 終)
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