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○ 地球・荒野
笑顔で話し合っているリーザとカミラ。
リーザ「(少し心配そうに)どこも壊れてな
い?」
カミラ「全然。やっぱりこの体は丈夫よねー」
と、自分の頭を右手の人差し指でコツコ
ツとたたきながら、
カミラ「でも、ここだけはどうしようもない
わね。さっきみたいに脳振とうは防げない
し」
リーザ、自分の頭を右手で触りながら、
リーザ「自分の脳……」
カミラ、リーザの右手の上に自らの両手
を重ね、リーザの髪をクシャクシャとか
き回す。
リーザ「わっ……」
カミラ「ほんとこのサラサラヘアがうらやま
しい」
と、かき回すのをやめる。
リーザ、少し乱れた髪を戻しながら、
リーザ「もうまた……。カミラもそうしたら
よかったのに」
カミラ、左手を顎に当てながら、目をつ
ぶり、考えるように、
カミラ「でもやっぱり、元の姿になるだけ近
づけたい気持ちもあるわよね」
と、自らのポニーテールを触りながら、
カミラ「なんだかんだ言っても、このくせっ
毛も好きだしね」
リーザ「ならいいじゃない……、私の髪を触
らなくても」
カミラ「それとこれは別ー」
と、笑いながらリーザの髪を触ろうとす
る。
リーザ、避ける。
リーザ「もう、いいかげんにして」
カミラ「えー、残念」
吉乃の声「あのー……」
リーザ、少し驚き、
リーザ「吉乃のことすっかり忘れてた」
吉乃の声「えっ」
リーザ「龍型のやつと闘っているとき、ひと
つもアドバイスくれなかったし」
吉乃の声「すみません……。今回は原則、助
言は禁止だったので……」
リーザ「……」
と、思い出したように、
リーザ「ああ、そういえばそうだった」
カミラ、リーザをのぞき込み、
カミラ「通信?」
リーザ「うん」
カミラ「わたしにも来るかな――、あっ、来
た来た」
と、リーザから少し離れて行く。
リーザ「で、何?」
吉乃の声「えっとですね。さっきロボットた
ちと闘った草原まで戻って下さい」
リーザ「どうして?」
吉乃の声「そこまで迎えの船が来ますので」
リーザ「迎えの船?」
吉乃の声「はい」
リーザ「そんなの聞いてないけど」
吉乃の声「これはなるべく直前まで秘密にし
ていることなんですよ」
リーザ「秘密?」
吉乃の声「はい。ロボットたちにバレないよ
うにということで。仮に盗聴されていても、
間に合うようにです」
リーザ「それはまだ分かるけど、迎えの船が
あるなら、地球に降下するときもその船を
使えば……」
吉乃の声「それはダメなんですよ。ロボット
たちにそこを迎撃される恐れがありますか
ら。下手すると全滅してしまいますし」
リーザ「なるほど……」
吉乃の声「迎えの時はレーダー上でロボット
たちが周りにいないことを確認してから、
船の着地場所を決めてます。今回はリーザ
さんたちがかなりの数のロボットを倒して
くれたんで、そこの草原になったというこ
とです」
リーザ「説明どうも」
吉乃の声「では、カミラさんと共に移動を開
始して下さい」
リーザ「了解」
カミラ、リーザの所に戻ってくる。
リーザ、うなずく。
カミラ「じゃあ、行きましょうか」
リーザ「うん」
カミラ、駆けていく。それに続くリーザ。
駆けていく二人の後ろ姿を、そっと岩陰
からのぞく人型の黒いシルエット。
黒いシルエット「……」
○ 同・草原
リーザ・カミラ、二人が並んで立ってい
る。
そこに方々から他のサイボーグたちが走
ったり、歩いたりして近づいてくる。
中には片足や、片手がなかったりするサ
イボーグも。肩を借りているサイボーグ
もいる。
リーザ、彼らを見ながら、
リーザ「みんな、傷だらけ……」
カミラ「そうね……」
リーザ「カミラの友達は大丈夫?」
カミラ「うん? クロエたちのこと?」
リーザ「(うなずき)うん」
カミラ「大丈夫でしょ。そこそこ強いし」
リーザ「だといいけど……」
カミラ、遠くを見て、何かに気づき、
カミラ「あっ。ほら、あれ」
と、指を差す。
リーザ、指を差した方向を見る。
リーザたちに右手を振っているクロエ・
ローラン(見た目は17歳)。茶髪のセミ
ロング。両手槍を背負っている。
クロエの左には肩を借りているイレーネ
・フォルツ(見た目は17歳)。銀髪のミ
ディアム。銀色の盾を背負っている。
カミラ「まあ、大丈夫そうね」
リーザ「うん。あっ」
カミラ「どうしたの?」
リーザ、指を差す。カミラが差したのと
は反対方向。
爽やかな表情で左手を振っているサラ・
マリエール(見た目は18歳)。金髪のシ
ョート。少しだけアシンメトリーの髪型。
腰にレイピアを帯刀。
サラの右にはサラと腕を組んでいる満面
の笑みのエマ・マリエール(見た目は15
歳)。金髪のゆるふわパーマ。モーニン
グスターを背負っている。
カミラ「(あきれ顔で)ああ……。彼女たち
は平常運転ね……」
リーザ「(あきれ顔で)うん……」
黒い影がリーザたちの頭上に現われる。
リーザ、見上げながら、
リーザ「あっ、来た」
○ 同・草原・空
降りてくる全長25メートルの小型戦艦。
○ 同・草原
地上に着艦する戦艦。横に設置してある
ドアが自動で開く。順番に戦艦の中に入
っていくリーザたち。
○ 同・草原・丘
戦艦の中に入っていくリーザたちを見て
いるカイン(見た目は22歳)。
○ カインの視界
リーザたちのズームアップ。サイボーグ
たちが全員、戦艦の中に入る。
戦艦が上昇していく。
○ 地球・草原・丘
カイン、上昇する戦艦を見ながら、
カイン「追撃しますか?」
と、うんうんとうなずき、
カイン「了解しました。マイ・マスター」
と、ほとんど雲で隠れてしまった戦艦を
見る。
カイン「命拾いしましたね」
と、、風景に溶け込むように消える(ス
テルス迷彩のような技術)。
○ 宇宙
航行中の小型戦艦。
○ 小型戦艦・内部
縦一列に並んだ長椅子に座っているリー
ザとサイボーグたち。
座ったまま寝ているサイボーグが大半。
肩を寄せ合い、お互い寝ているサラとエ
マ。
クロエ、笑いながらイレーネに向けて話
している。
イレーネ、ハイハイと受け流すように聞
いている。
リーザ、隣に座っているカミラに向き、
リーザ「カミラ」
カミラ「うん?」
リーザ「私を助ける時、コードを使えばよか
ったのに」
カミラ「ああ、あの時……」
竜型ロボットの攻撃を避けるために、カ
ミラがリーザを突き飛ばしたシーンのカ
ット。
カミラ「私のは制御が難しいからね……。と
っさに出すのはちょっとね」
リーザ「難しい?」
カミラ「まあ、いずれ見せてあげるわよ」
カミラ、背後にある窓を見て、
カミラ「着いたみたいよ」
リーザ、窓から外を覗く。
大型戦艦アスモデウスが見える。
○ 宇宙
小型戦艦が大型戦艦アスモデウスの下か
ら収納されていく。
○ 大型戦艦アスモデウス・格納庫
小型戦艦がガシャンと音を立て、固定さ
れる。
小型戦艦のドアが開き、続々と並んで出
てくるリーザとサイボーグたち。
○ 同・居住区に至る道
並んでいるリーザとサイボーグたち。
リーザたちの目の前に大型の箱のような
ものがある。
箱の前には女性型のサイボーグがひとり
立っている。
女性型サイボーグ「こちらに入って頂けます
か」
サラ「これは何だい?」
女性型サイボーグ「こちらはシャワー室です。
皆さんの体についたオイルなどを洗い流し
てもらうために設置しています」
リーザ、自分の体についた乾いたオイル
をキョロキョロと見ながら、
リーザ「うん、確かに洗いたい」
○ 同・シャワー室
壁の四方八方からシャワーが出ている。
その中で多数のサイボーグとリーザたち
が、シャワーを浴びている。
洗い流されるオイル。
○ 同・ブリッジ
アニード、大画面の透過型ディスプレー
を見ている。
エーデル、アニードの背後にある自動扉
から入って来る。
アニード「遅かったのぉ」
エーデル、アニードの横にある椅子に座
り、
エーデル「(ため息をつきながら)年寄りは
話が長いから嫌いだ」
アニード「儂もか」
エーデル「否定はしない」
アニード「ほっほ」
エーデル「で、状況はどうなっている?」
アニード「戦艦3機を迎えに行かせて、1機
はもう戻って来ているぞ。今はシャワーぐ
らいじゃないかのう」
エーデル「ご苦労。戦果は?」
アニード、端末を操作している女性オペ
レーターに指示する。
透過型ディスプレーに数字の羅列が映る。
アニード「簡潔に言うと、こちらの死亡が22、
破損が33じゃな」
エーデル「(顎に手を当てながら)約半分か
……。まあ、上々か」
アニード「補充するか?」
エーデル「いや、このままでいい。で、ウイ
ルスチェックには誰が?」
アニード「副司令に頼んでおいた」
エーデル「(フフと笑い)まあ、適任だ」
○ 同・廊下
一列に並んでいるリーザとサイボーグた
ち。
リーザの視線の先、短いアーチ型の機械
がひとつ設置してある。
一体一体のサイボーグがその中に入り、
機械の中心で止まる。それを順番に行っ
ている。
リーザ「あれは何?」
カミラ「さぁ……」
リーザのひとつ前に並んでいるカミラ、
機械の向こう側に視線を移す。
そこには窓ガラスが貼ってある。
窓ガラスの向こう側に、霧江怜(銀髪の
ロングヘアー、眼鏡をしている)が立っ
ている。
左手にはホログラムディスプレーを投射
している小型の機械を持っている。
右手でそのディスプレーに触れ、操作し
ている。
カミラ「あれって……(霧江を指差しながら)
副司令よね」
リーザ、見て、
リーザ「えーと、たぶん……」
カミラ「あんたねぇ……。まあ、あんまり表
には出て来ないから仕方ないかもね」
リーザ、霧江を見ながら、
リーザ「なんで眼鏡をしているの?」
カミラ「なんかあれ、だて眼鏡らしいわよ。
(フフフと笑い)何の意味があるのかしら
ね」
霧江の声「そこのあなた」
窓ガラスの上に設置してあるスピーカー
から発せられる霧江の声。
カミラ、一瞬ビクッと体を震わせ、霧江
を見る。
霧江、カミラを見ている。
霧江の声「識別番号15711、カミラ・ウォー
カー」
カミラ、さらに緊張する。直立不動。
霧江、カミラをにらみながら、
霧江の声「静かにしていることができないの
かしら」
カミラ「いえ、できます!」
リーザ、カミラの背中を肘でつつき、
リーザ「(ささやく)あの機械が何なのか聞
いて」
カミラ、首だけをリーザの方へ向け、
カミラ「(ささやく)なんで今なのよ」
リーザ、カミラの顔を真っすぐ見据え、
リーザ「(ささやく)気になるから」
カミラ「(ささやく)あんたねぇ……」
霧江の声「カミラさん!」
カミラ、気を付けの姿勢。
カミラ「はい!」
霧江の声「静かにしていなさいと言ったでし
ょう」
カミラ「いえ、その……。ひとつ聞いてもよ
ろしいでしょうか……?」
霧江の声「……。ひとつだけならいいでしょ
う」
カミラ、恐る恐るアーチ型の機械を指差
し、
カミラ「あの機械は何ですか……」
霧江、ため息をつき、カミラのほうを向
く。
霧江「あなたは普段の講義で寝ているんです
か?」
カミラ「へ?」
霧江、左手に持つ小型端末を操作する。
霧江の前に、カミラの顔写真付きのカル
テのようなものが映された透過型ディス
プレーが現われる。
霧江、それを見ながら、
霧江「実技は良いですが、座学の成績は……
芳しくないですね」
カミラ「あのー……」
霧江「まあ、この話は後にしておきましょう」
と、小型端末を操作する。透過型ディス
プレーが消える。
少し下にずれた眼鏡を片手で直し、
霧江「この機械はウイルスチェック機能を兼
ね備えています」
カミラ「ウイルスチェック……?」
霧江「そうウイルスチェックです。ここで調
べるウイルスは微生物のもの、プログラム
のもの、その両方ともです」
リーザ、カミラの背後で軽くうなずきな
がら聞いている。
霧江「船内に未知のウイルスを持ち込ませる
訳にはいきませんからね」
カミラ「それは地球のもののということです
よね」
霧江「当たり前でしょう。ウイルスプログラ
ムのほうは、敵の攻撃から混入される恐れ
がありますから」
カミラ「へー、なるほどねぇ」
リーザ、うんうんとうなずいている。
霧江「これも座学の講義で習っているはずで
すが」
と、カミラを睨む。
カミラ、急いで姿勢を正し、
カミラ「ご教授ありがとうございました!」
と、90度腰を曲げて、一礼する。
霧江「カミラさん」
カミラ、少し引きつった笑顔。
カミラ「はい……」
霧江「後で私の所まで来なさい」
と、ニッコリほほ笑む。
カミラ、肩を落とし、
カミラ「はい……」
霧江、小型端末を操作し、自分の前に透
過型ディスプレーを表示させる。
カミラ、首だけをリーザのほうへ振り返
り、
カミラ「この借りは返してもらうわよ……」
リーザ、心底に面倒くさそうな表情。
霧江の声「カミラさん!」
カミラ「はいー!」
リーザ「はぁ……」
と、大きなため息。
○ 同・リーザの寝室
机に備えられた椅子に座り、読書中のリ
ーザ。
○ 同・廊下
カミラ、ズカズカと音をたて、走ってい
る。
○ 同・リーザの寝室
カミラの声「リーーーーザーーーーー!!」
リーザ、読書姿勢のまま体をビクッと震
わせる。
カミラの声「ここを開けなさい」
リーザ、本に栞を挟み、閉じ、置く。
トボトボと網膜認証式ドアの前まで歩き、
ドアを開ける。
カミラ、勢いよくリーザの部屋に入って
くる。
カミラ「さあ、お楽しみの時間よ」
リーザ「はぁ……」
と、肩を落とす。
カミラ「はい、お一人様ご案内ー」
と、リーザの首根っこを引っ張り、部屋
から出て行く。
リーザ、ズルズルと引きずられて行く。
○ 同・カミラの寝室
ベッドが端っこにひとつ置かれている。
部屋の中央には大きな四角いテーブルと、
椅子がそれを囲むように4つ置かれてい
る。
カミラ「じゃあ、リーザはここの席ね」
と、椅子のひとつを引いて、リーザに薦
める。
リーザ、諦めたように椅子に座り、キョ
ロキョロと部屋を見回す。
部屋の壁の全てに棚が設置されている。
そこには大量のボードゲームが整理整頓
されて、置かれている。
リーザ「また増えた?」
カミラ「(威張るように)30個ほど」
リーザ、あきれた表情。
リーザ「今日は私だけ?」
カミラ「ううん、クロエとイレーネも来るわ
よ」
クロエの声「カミラー!!」
カミラ「ちょうど来たわね。はいはいー!」
と、、網膜認証式ドアの前まで歩く。ド
アが開く。
クロエ・イレーネ、部屋に入って来る。
カミラ「役者はそろったわね」
と、満面の笑み。
× × ×
大きな四角いテーブルの上に、カードの
束が裏向きでひとつ積まれている。
そのカードのそばに6枚のカードが、表
向きで上下に3枚ずつ並んでいる。
リーザ・カミラ・クロエ・イレーネ、テ
ーブルの周りに座っている。4人とも手
にカードを5枚、所持している。お互い
に見せないように。
リーザ、困惑の表情。
カミラ、真剣な表情。
クロエ、笑顔。
イレーネ、無表情。
カミラ「ここでこのカードを出して……っと」
と、手札からカードを1枚、目の前の机
の上に出す。
カミラ「はい、みんな手札を1枚捨ててねー」
リーザ「うーん……」
と、悩みながら、手札を1枚捨てる。
クロエ「これ、いらないかな」
と、直感で決めるように、手札を1枚捨
てる。
イレーネ「……こっちかしらね」
と、手札を1枚捨てる。
カミラ「で、このカードも出して……。はい、
みんな、2枚捨てて」
リーザ「えー……」
クロエ「えー!」
イレーネ「やるわね……」
カミラ「ふふん!」
イレーネ「まだ勝負はこれからよ」
カミラ・リーザ・クロエ・イレーネ、カ
ードを捨てたり、引くことを繰り返しな
がら、
イレーネ「それにしても」
クロエ「なにー?」
イレーネ「ほんと、脳だけは自分のもので良
かったわ。でないと、ゲームをすることす
らできないもの」
カミラ「そうよねー」
クロエ「確かに!」
イレーネ「(クロエを軽くにらみながら)も
ちろん生きていることが大前提だけどね」
クロエ「それはごめん!」
リーザ「何かあったの?」
イレーネ「さっきの戦闘でね」
カミラ「ああ、クロエがへまをしたんでしょ」
イレーネ「正解。クロエの槍が地面に刺さっ
て、抜こうとしているところをロボットに
ドカンってね」
リーザ「ああ、それをイレーネがかばったん
だ」
イレーネ「そう。で、右腕を損傷」
クロエ「だから、ごめんてばー」
リーザ「もう大丈夫なの?」
イレーネ、右腕を見せながら、
イレーネ「見ての通り、問題ないわ。一応、
明日のメンテナンスで細かいところは見て
もらう予定だけどね」
リーザ「それは良かった……。って、(大声
で)良くない!」
と、手札をまき散らす。
クロエ「わっ! びっくりしたー」
リーザ「メンテナンスってことは……。カミ
ラ。もしかして今日は朝までやる……?」
カミラ「モチのロンだけど」
リーザ、ため息をつき、イレーネとクロ
エを見て、
リーザ「みんなはそれでいいの……?」
イレーネ「(澄ました表情で)元からそのつ
もりよ」
クロエ「(右手を上げながら)私もー!!」
リーザ、肩を落とす。
カミラ、リーザの肩をたたき、
カミラ「じゃあ、そういうことだから」
と、不敵な笑み。
○ 同・メンテナンス室
T「翌日」
横一列に並んでいるサイボーグたち。約
50体ほど。
リーザ・カミラ、隣同士で並んでいる。
クロエ・イレーネ、隣同士で並んでいる。
アニード、サイボーグたちの前にいる。
宙に浮いた椅子のようなものに座ってい
る。
テレサ(ウエーブのかかったセミロング。
髪色はピンク)、アニードのそばに立っ
ている。ナイチンゲールが着ていたよう
な看護服を着ている。
アニードの背後の方に、斜めに立てかけ
られた酸素カプセルのようなものが左に
5機、右に5機ほど並んでいる。その中
央には大型のモニターが設置してある。
カプセルの中には、薄い緑色の液体が満
ちている。
アニード「じゃあ、始めるとするかの」
と、モニターの前に進み、透過型キーボ
ードをタッチ。
アニード「テレサ。誘導してやってくれ」
テレサ「(お辞儀をしながら)かしこまりま
した」
テレサ、若干ぎこちなく歩きながら、サ
イボーグに近づく。
テレサ「ついて来て下さい」
5体のサイボーグ、テレサの後ろについ
ていき、別々のカプセルの前へ。
テレサ「こちらでお待ちくださいませ」
テレサ、モニターの前で操作をしている
アニードのそばへ。
リーザ、テレサを見て。眉をひそめる。
カミラ「まだ苦手なの?」
リーザ「少し」
カミラ「見た目はほとんど私たちと同じだけ
どね」
リーザ「動きがちょっとだけぎこちないのが
ダメなのかも……」
カミラ「私は気にならないわねー」
テレサ、リーザたちに近づく。
リーザ、少しビクッと体を震わせる。
テレサ「ついて来てください」
リーザ「ああ、うん……」
リーザ・カミラ、テレサの後ろについて
いき、別々のカプセルの前へ。
テレサ「こちらでお待ちくださいませ」
と、アニードのそばへ。
テレサ「全員、配置につきました」
アニード「うむ」
と、透過型キーボードをタッチ。
カプセルのふたが開く。
テレサ、カプセル前に立っているサイボ
ーグたちを見て、
テレサ「中にお入りください」
リーザ・カミラ・サイボーグたち、薄い
緑色の液体で浸っているカプセルの中に
入る。
リーザ、あおむけになり、目をつぶる。
リーザN「昔、読んだ本にアンドロイドは夢
を見るかというのがあった気がする。その
答えにはならないと思うけど、私たちサイ
ボーグはちゃんと夢を見るんだ。いい夢も
悪い夢も――」
(第2話 終)
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