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中学に上がる少し前、両親が離婚した。私が幼い頃には仲良しだったのに。ママの口癖は「ママはパパと結婚できて幸せだわ。ラッキーだったのよ」。パパの方も「ママと結婚出来てよかったなあ」とよく言っていた。2人は私の憧れだった。いつかママとパパのような幸せな結婚をするんだと思っていた。
私は時々ママにせがんで、2人の結婚式の写真を見せてもらった。アルバムの中のママはお姫様みたいに綺麗で、パパも王子様みたいにかっこよかった。
バージンロードをおじいちゃんと腕を組んで歩くママ、それを待つパパの優しげな表情。ママの白い手袋の指に指輪をはめてあげるパパ。そして目を瞑ったママの額に、パパからの誓いのキス。
「永遠に愛し合うことを誓ったのよ」そう言って微笑むママは、ウェディングドレスを着ていなくても、幸せなお姫様そのものだった。
なんて素敵なんだろうと思った。何度同じ写真を眺め、同じ話を聞いても。
ママとパパは中学生の頃から付き合っていて、そのまま26歳で結婚したのだ。お互いが初恋の人で、初めての恋人。
私も中学生になったら、そんな恋をするんだとずっと思っていた。
だけど、ママとパパは離婚した。
2人とも、別の人を好きになったそうだ。
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