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彼は少しからかい交じりにゆっくり話したのだろう。けど、私はそれを「私の為にゆっくり話してくれてる!優しすぎる?」と解釈した。もはや私は紛れもなく【恋の妄想列車】となっていた。
「きょ、今日の朝は慌ててたから……見る暇がなかったんだ」
爆弾(爆発した髪)処理をしてたとは口が裂けても言えない。
「そっか、だから傘持って来てないんだね」
「そ、そうなの!」
天気予報を見なかった私とテレビをつけなかった母に国民栄誉賞を送ります!私の心の中の国家が決定した。
「私の家反対方向なのによかったの?」と疑問を投げる。
「大丈夫だよ。そんなに遠く無いでしょ?おしゃべりしながら行ったらすぐだよ?」
おかしい?雨なの太陽の光を感じるなんで……彼だ?彼から日光が出てる?太陽は一つじゃなかったんだ……。私の脳内でビッグバンが起きた?
彼の言葉につられ私は話した。持てるトークスキルをすべて使いとにかくおしゃべりを続けた。彼は私のどうでもいい話に付き合ってくれた。ネタが無くなり昨日の晩御飯の話までした。それでも彼は笑いながら聞いてくれていた。
「あ~本当に優しくて、かっこいいな~」
と思った……あれ?
今、私……声に出てた?
無理して話続けたから勢いで頭の中の言葉まで声に出てた?
沈黙が流れる。恐る恐る彼の顔を横目で確認すると彼が驚いた顔で私のことを見ていた。
私は「声出てた?」と顔を真っ赤にしながら彼に確認した。
すると彼は「うん」と答えた。
「 」頭の中が真っ白になった。
その瞬間私はその場から逃げ出そうと走り出した。しかし、手を引かれすぐさま傘の中に戻された。
また、沈黙が流れた……。
今度は私が驚いた顔で彼を見ていた。
すると彼がこう言った。
真っ赤な顔でこう言った。
「好きな子が……雨に濡れるとこなんて見たくない」って。
私は雨が嫌い。
けど、そんな私が雨に感謝の言葉を送っている。
「ありがとう。本当にありがとう?」って!
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