2章

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 吟次が問いかけても恥じ入るように首を振るだけで何も言わない。  どこか具合が悪いのかと思っていたら消え入るような声で「………もう中では出さないで下さい………」と睫毛を震わせた。  そこでようやく吟次は自分の残滓が馨から垂れてしまった事に気付き、すまなく思うどころか無慈悲にも欲情してしまう。  多分、どんなに馨が嫌がろうとも強烈な征服欲は尽きることない。薄い肩を見下ろしながら、自分でも抑えの利かない激しいまでの慕情を持て余してしまう。
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