6章

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「くぅ……」  唇の間から甘い呻きが通過してゆく。それに誘われるように吟次は馨についばむような口付けを落とす。 「全部入ってる」  吟次がこれ以上ないぐらい甘く目を細めて微笑んでいる。 「あんたと一つになったみてぇだ………」  体温は溶け合い、外からも中からも交じり合う。  狂おしいほどの劣情は生まれないが、じっくり互いを感じるような交わりだった。 「…吟次さん……」  溢れんばかりの感情を胸で詰まらせ馨は手を伸ばす。これ程まで満たされた感覚は初めてだった。  吟次は頬を寄せてくる馨を受け止め、強く抱く。  穏やかな時間の中、ふたりは静かに安らかな抱擁に酔う。
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