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「いけない、いけない。重力ありの状態にしてるんだった」
マルベリーはタブレットを拾い上げ、少し離れた場所に置くと
「気を取り直して、やったー!」
とその場でジャンプした。それから僕の両腕を掴んで、ぴょんぴょん跳ねる。
「目的を達成したのよ、私!」
「おめでとう。マルベリーがうれしいと、僕もうれしい」
「えへ、ありがとう。そうそう、そういう一言はとっても大切」
マルベリーは機械に命じる。宇宙服がまず出来上がる。
「『母星と同じか、それ以上の環境の星には、自動的に近づいていく』だったわよね」
「そういう風にプログラムされている」
「宇宙服の他に、何を準備しておけばいいんだっけ。頭がなんか、パーンってなってて、うまく考えられない」
「到着まで一週間ある。少しずつ進めればいい」
「そうよね! あー、でもうれしい。なんていうか、これまでにない達成感だわ! あ、そうだ」
マルベリーは僕の「体」をぺたぺた触り始める。タブレットの画面を切り替えて、縦横の長さを測定している。
「何をしている?」
「あの星の大気は母性とほぼ同じでしょ。だから、扉を開けっ放しにしておいてもいいわけでしょ。つまり、扉を取り外しても良いということでしょ」
「調査は必要だが、おそらく大丈夫だろう」
「だったら、カイをこのまま扉にしておくんじゃなくて、自律思考型アンドロイドに作り替えてあげる。扉を材料にしてボディも作れば馴染みもよさそうだし。いい考えでしょ。そしたら、手をつないで歩いたりできるんだよ」
「それは不可能だ」
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