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モレラ歴十年、十月の七日。内側のパネルに貼られていた紙が剥がされる。テープも一緒に?がされる。最初に描かれたときから二回描きなおし及び貼り直しがされたが、今度は新しい絵は用意されていない。続いて、内側のパネル自体が取り外される。取り外し用の器具は、基本を機械に作らせて、更に自身で改良を重ねて作った。基本的な知識や技術は、学習ノルマをこなしていれば身につく。学習速度と定着率はモレラ歴八年、一月の十一日より、それ以前の約五倍に上がった。基本的な学びはモレラ歴十年、七月の十五日に終えた。学習ノルマはもう無いが、機械に命じて発展的な内容を学んでいる。船内の改造もそれに該当する。
パネルは上から順に外されて、下部まで露になる。記録装置を一番上までずらし、続いて右に、左に動かし、最終的に左の隅に固定させる。
「カイ、落ち着いて。大丈夫だから。壊すわけじゃないから」
記録装置は、熱さ寒さだけでなく、大きな衝撃にも耐えることが出来る。船が爆発しても、記録装置だけは残るように。いくら知識や技術が向上しても、乗組員が壊すことは出来ない。あくまで念のための移動である。
コードが用意される。器具が並べられる。一部、ボルトが緩められる。
記録装置が停止する。
『二秒経過。接続を確認。記録を再開する』
音声が船内に響く。
「やった!」
『飛び上がる。笑顔になる。手を叩く。記録をする言葉すべてが、音声として船内に響く。記録装置にスピーカーを取り付けられた模様』
「はーん、ちょこまかと動いているコレは、私を記録する機械だったわけね」
『スピーカーとの動作連携続行中。自力で停止は不可能。記録には問題が無いためこのまま続ける』
「考えていること、丸聞こえだよ。カイ。聞いてるこっちが恥ずかしいよ」
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