A17465Mulberry

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 モレラ歴十年、十八月の十日。剥がされていたパネルへの加工が完了する。ひとつずつ、また元の場所へ納められいく。内側のパネルの表面には、ゴム素材、綿、糸、布、皮が付着している。それらにより、髪、顔、体、手足と服が作られている。記録用の辞書で検索したところ「押絵」というものに近いようだ。髪の毛は短い。ペールオレンジの肌に、青いチェックのシャツ。紺色の半ズボンでサスペンダーを身に着けている。白い靴下に茶色い革靴。普通の押絵は立体的な「絵」であるが、新たに付けられた「腕」に相当する部分は、可動式である。また、記録装置に加えられたスピーカー機能は顔の中の「口」に繋げられており、スピーカー機能をオンにすると、ただ音声が出るだけでなく、音声に合わせて「口」が動くようになっている。なお、この記録装置は「音声を出しつつ記録を残す」ことと「音声を出さずに記録だけ残す」ことを分けて出来るように改造された。今この記録は「音声を出さずに記録だけ残す」状態により行っている。音声を出すのは、基本的にマルベリーから指示を受けた時だ。  基本的に、というのはマルベリーからこのような指示が出されているからだ。
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