2.放課後の宝石

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「やろ?それで、太田さんはどう思う?」 「思うって?」 「この話聞いて、どう思ったかってこと」 ああ、そんなことか。別にあなた達が幸せなら、いいと思うと伝えると、水島だけでなく、小柴綾美ちゃんも嬉しそうな顔をした。どうやら彼らに受け入れてられたようだ。 それなら綾美よりも先に俺を描いてくれと水島が言い出した時、ゼリーポンチがガラスの板の机に置かれた。 「綺麗」 青い光に染まったソーダの中に、5色のゼリーの宝石が沈んでいた。飲み物に対して美しいと思ったのは、初めてかもしれない。いや、飲み物じゃないが、液体で同じ色を作った事がある。 小学生の時、育てた朝顔の色水だ。落ちた花を、水やり用のペットボトルに入れ、激しく降ったら、その色が溶けだすのだ。今、目の前にあるゼリーポンチのソーダは青色の朝顔、マゼンダのゼリーは赤紫。あの時色水を作った私に、教えてあげたい。高校生になったら、それらを味わえるようになると。 その後、私は三人と共に宝石を食べ、翌日からヌードよりも先にゼリーポンチと朝顔の絵を描いた。「朝顔の欠片」と名付けられたその絵は、コンクールに出展された。勿論初めてのヌードは水島だった。
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