7.主演のお姫様

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7.主演のお姫様

次の日は風紀委員会があり、私が部活に行ったのは木曜日の放課後だった。水島に言われてから、高二の時の小柴の事件を思い出していた。あれ以来、私は人殺しのような目で、絵を描いていたのだろうか、赤色限定で。 ぼんやりとモネの画集を見ていたら、水島が確認しに美術室に入ってきた。数少ない部員達は声をかけたが、彼はおざなりに返して私の前に座った。 「今日描いてないやん、ちゃんと守ってるんやな」 「そりゃ描きたいもの、一週間くらい我慢出来るよ」 「綾美はぼーっとしてるけど、一応来週は付き合うように言っといたから。それで、今日は伝言しに」 「伝言?」 「そ、彼女の希望がありまして」 水島はモネの晩年の睡蓮の絵を見て、「これはボケてるなぁ」と笑った。 「ヌードが無理とかかな」 「それもあるけど、薄い布とかを被るなら足とか出してもええって。 それよりも、色と今後に関して指定があんねん」 「今後?」 「そ。 まず色は、綾美の好きなオレンジ色を中心に描いてほしいこと。 次に、その絵を天文ドームの階段の壁に飾りたいこと」     
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