7.主演のお姫様

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さすがに驚いた。私の作品は、美術部員と一緒に校内に飾った事は無い。飾るのは本人の希望によるけど、別に作品が飾られても生徒達は通り過ぎるだけだ(例外はある、水島の女装の絵は飾ってほしいだけじゃなく欲しいという女子生徒は何人かいた)。私も飾る気は無く、今までの作品は部室に置きっ放しである。その中には「水島ヌードシリーズ」なるものがあり、後輩達がくださいと言っているが、まだ水島にあげて良いか許可を取れてない。 「・・・絵を飾りたいと?」 「俺もびっくりしてさぁ。 綾美って授業サボる女子で有名やけど、人前に出たがらない子やん?やから、自分がモデルの絵ならいいのが不思議なんやけど」 そして最後に、絵の背景が天文ドーム内が希望だと告げられ、私はモネの画集に戻り、水島は部活動が終わるまで美術部の部員達と仲良くお喋りしていた。 帰りは小柴を除いたいつものメンバーで帰ろうと理科棟に行こうとしたら、水島に止められた。 「実は、雫が綾美と良い仲やねん。やから最近は二人で帰ってる」 「そう。吉野なら、綾美ちゃんと上手くいくんじゃないかな」 吉野は高校生にしては落ち着いた男子だから、ぼーっとしてる不思議な綾美ちゃんとはお似合いだと思う。 「水島こそ良いお相手はいないの?」 「俺?俺の好きな人、この学校にいいひんから」 「そうなの?」 「そ。幼なじみでニューヨークにいる」 外国なのか。彼はモテるが彼女が出来たと聞いたことが無かったことに納得した。 「会えなくて辛い?」 「辛いと言うよりは、待つ間は空腹を我慢してる感じやな。待てば待つほど、美味しいから」 「Mなの?」     
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