9.浅き夢覚ませ

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9.浅き夢覚ませ

テスト期間に入ってからも、後輩に混じって作品を作り続けた。初めてテストを無下にした。でも完成した時、珍しく顧問が是非飾ってくれと言い、河合先生に掛け合ってくれた。それも初めての事だった。こうやって、少しずつ、私は夢に区切りをつけていった。きっと、もうこんな気持ちで絵を描く事は無い。 けれども、そんな事よりも、この作品を、小柴に見せたいと思った。 3月中旬、私と受験に合格した小柴は、地学部の夜天観測が行われる日の午後、理科棟の天文ドームに訪れていた。綾美ちゃんの希望通り、入口の横に絵が飾られていた。 「これは・・・ヌード?じゃない?」 「ヌードではないかも」 実際は綾美ちゃんに脱いでもらったけど、体育座りにカーテンの裾を身体に着るように布を纏ってもらっている。     
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