9.浅き夢覚ませ

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私は名前で呼ぶくらい好きな男子と、海辺の明け方の薄青い風景を、一緒に見たいの」 「それは俺の血が赤いから好きなの?」 思わず笑ってしまった、思い出を懐かしむように。やっとこっちを向いた征一の目とレンズを見つめる。 「勿論あなたの血も好きよ。でも、その血が流れている体も、心も好き」 「そう言ってくれて良かった・・・。 海辺の旅行、ぜひ一緒に行かせてください」 私たちは手を繋ぎながら、階段を降り始めた。階段の天井からは、昼過ぎた太陽の光が落ちていく。色と夢、か。征一の発見は私の心を優しく揺らす。そして私は赤くて儚い夢から覚めて、これから好きな人と共に、酔うくらい淡い色を見に行く。
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