4人が本棚に入れています
本棚に追加
私は名前で呼ぶくらい好きな男子と、海辺の明け方の薄青い風景を、一緒に見たいの」
「それは俺の血が赤いから好きなの?」
思わず笑ってしまった、思い出を懐かしむように。やっとこっちを向いた征一の目とレンズを見つめる。
「勿論あなたの血も好きよ。でも、その血が流れている体も、心も好き」
「そう言ってくれて良かった・・・。
海辺の旅行、ぜひ一緒に行かせてください」
私たちは手を繋ぎながら、階段を降り始めた。階段の天井からは、昼過ぎた太陽の光が落ちていく。色と夢、か。征一の発見は私の心を優しく揺らす。そして私は赤くて儚い夢から覚めて、これから好きな人と共に、酔うくらい淡い色を見に行く。
最初のコメントを投稿しよう!