1.初めての色

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彼は自らの体を悲観的に捉えてるけど、私は彼の体が、いや、も好きだ。筋肉は余り付いてないけど、その分、骨格が無駄にない筋肉を支え、体を成している様子が分かるのが良い。きっと彼の体の中の骨も、あの優しい白。それに精液も同じ優しい白だった。 そんな彼は、小さい頃から書道家として有名だった。高校三年間、彼を見ていたけど、スランプに藻掻く様に目を奪われた。その時の彼は、「俺の血の色が墨色になればいいのに」と呟いてた。自分の血の色を変えてまで芸術をしたい人間なのが羨ましかった。だからだろうか、私の中の彼のイメージカラーは、骨と血の白黒だ。 でも、最後に絵を描くなら、自分の好きな赤色で絵を描きたい。今回のモデルは小柴じゃない。 「赤色が似合う人のヌードが描きたい」 「赤かぁ。それやったら亮平は?あいつ赤好きやん」 「そうだな。・・・でも、水島のヌード、もう5枚描いてる」 「さすが露出狂やな・・・」 「後、去年の文化祭の女装姿も依頼してきたから描いた」 「・・・・・・」 でも彼の顔は美しいから、勿論描かせていただいた。同じ母親から生まれて来たのに、小柴と水島は少し顔が違う。お互いに父親似だからだ。 さすがに亮平を描くのは飽きた。新しいヌードモデルを探さなきゃならない。けど、そう簡単にヌードを受け入れてくれるのは亮平が珍しい方で、この3年間多くの人に断られてきた。赤色が似合い、ヌードモデルを受け入れてくれる人。     
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