1.初めての色

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1.初めての色

人間の体は、分子ではなく、色によって構成されているのではないかと錯覚してしまう。私は黒目だが、外国には青や緑、紫色の瞳を持つ人々が存在する。眼球だけを集めて並べたら、陽の光を当ててあげたい。きっと色とりどりの菫よりも自然としての美しさを表すに違いない。 肌の色はどうだろうか。黒人はコップに注いだココア、白人ならスポンジの上で延ばされたクリーム。私は日本人だけど肌が白に近いから、正確な色ならたまごボーロ。昔からよく絵を描いてたけれど、その頃はまだ「はだいろ」のクレヨンだった。今は「うすだいだい」に変わってしまった。差別に当たるからというけれど、私も変えて良かったと思う。様々な肌の色の美しさを分からないなんて、もったいない。 体の中はもっと鮮やかなのだろう。ほんものを見たことは無いけれど、理科室に行けば見れた。皆が嫌がる人体模型の、筋肉の濃淡の赤。骨格標本の優しげな白。それらが私の体を構成しているなんて、素敵。勿論、私の好きな色は赤。そして、初めて出会った美しい色も赤。     
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