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とは言っても縁は異なもの味なもの、合縁奇縁(あいえんきえん)、どうしてか断続的な交友関係が続き、それがダラダラと時間が過ぎていくうちに関係は今日まで続く。
大学卒業後、小説家の夢まだ捨てがたく、あえて就職活動はせずアルバイトと物書きの二足の草鞋、というよりも経済面では一足の草鞋だが……兎に角、一応は社会人の道を選ばなかった、高遠稔。一方、加納哲夫は物書き、少なくとも文章に携わる仕事に就く、という目標はあっさり投げ捨て、いつの間にかマスコミ業界に入っていた。そして、あれよあれよとその方面で活躍して、言わば業界の重鎮になっていった。
そんな加納を横目にしても高遠自身は加納とは適度な距離を置き、特に嫉妬心も羨望の念も抱かずに加納哲夫と付き合ってきた。そんな仲が続いている過程で、高遠は加納から放送作家という仕事を斡旋され、また高遠もそれに深く考える事なく、家庭人になる予定も忘れ、引き受けてしまった。
小説家も放送作家も書き物関係、という共通点では似ている部分もあるかも知れないが、小説を書く才能は言わずもがな、放送作家の仕事である構成台本や案や企画を作り出す能力が自分にあるとは高遠には思っていなかった。だからこそコンスタントに仕事が舞い込んで来るのは、加納の裏の助力の賜物である事は、高遠にも薄々分かっていた。
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