ice

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「あ、ナギさんっ……」 「いい? 奥、当たってるよ」 「いい、です……ッ」 「……んッ」  誰かとこうして繋がっていればそれでいいと思っていた。ずっとそうしてきたし、これからもその場限りの関係をずっと繰り返していけるものだと思ってきた。でももう無理なのだ。リクを知ってしまった。リクの手のなかで溺れてしまった。彼を失った僕は暗い海のなかで漂うだけだ。あの日からずっと。 「あぁ、ねえ、下から突いて。もっと突いて痛くして」 「突いてっ、もっと突いて痛くしてッ……」 「ナギは痛いのが好きなの?」  微かに笑って、それでも素直に突き上げてきてくれる。リクの甘い微笑が脳を麻痺させる。声にまで薬が仕込まれているみたいに、僕は耳からもトロトロに侵食されていく。 「あッ、あん、あぁ……ンッ」 「ねえナギ? オレがどうして君の誘いを無視してきたか知ってる? 君が誰とでも寝る男だって知ってたからだよ」 「あぁッ、あ、もっと……」 「ほんと悪い子なんだから。ゾクゾクする」  まだ足りない、まだ足りない。僕の存在を貫いてこの場に繋ぎとめてほしい。でないとどこかに消えてしまう。僕がいなくならないように、誰でもいいから僕と身体を繋いでいて。 「オレにモーションかけてる間もほかの男と寝てたろ? あいつらのじゃ物足りないからオレに声かけてた? 全部知ってるんだよ、ナギ。オレはあいつらと同じ? 一回ヤッたら捨てる?」
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