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教室を間もなく出ようとしていた男子グループも少し離れて遊んでいた女子たちもこっちの方を向いている。こうやって話をすることは別段珍しくは無いけれど、悩みを打ち明けるほど親しくはしていないため、筒抜けの会話の内容に皆ひそひそとし始めた。
「聞いてくれる人がいっぱいいていいじゃないの。それとも何? あたしとそーいう関係だと思われるのがイヤなの?」
「なっ……そうじゃなくて――ああもう! とにかくこんなところじゃ無理だよ!」
恥ずかしさで真っ赤になった僕はルイーズと四方から突き刺さる好奇の視線から逃げ出そうと席を立って――何故かルイーズの手を掴んで教室を飛び出した。なんで彼女まで連れ出したのか、どこをどう通ってきたのか自分でもよく分からないまま家の近くにある人気のない公園までやってきた。公園と言っても遊具も十分な広さも無い形だけのもので、建物を建てるには狭い場所にそっけないベンチが置いてあるだけ。夢中で全力疾走したせいで二人ともぜいぜいと息を切らし、ひとまず疲れ切った体をベンチに預けた。二言三言しか会話していないのに、これじゃあ完全に「そーいう関係」だと思われても仕方がない。明日は弁解に時間を削られるかと思うと後悔の念が重くのしかかる。
「あははっ、照れ屋ってからかうと何しでかすか分かんないな―。だから余計面白いんだけど」
「他人で遊ばないでよ……はあ、何やってるんだ僕は」
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