CH1 Raindrops

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「でもまあここなら誰もいないし話もしやすいでしょ。ささ、存分に思いの丈をぶちまけてくださいな」  まだ息も整っていないうちから僕の話を促すなんてしつこいとは思ったものの、心拍数の上昇でハイになっているせいもあるかも知れないが、僕の憂鬱などどこ吹く風といったように底抜けに元気なルイーズを見ているとこっちも自然に顔が綻んだ。昨日までほとんど意識していなかった彼女であるのに、今はすっかり打ち解けた親友であるような錯覚がする。でもどうして、そこまでして僕の話を聞きたがるんだろう。 「自分の中でもまだはっきりしていないのに、急に話してって言われても無理だよ。今日はもう帰るね」  僕は会話を適当に打ち切って、残念そうにむくれているルイーズをその場に残して逃げるように去った。顔はまだ紅潮しているし混乱からも抜けきっていないまま、そのうえ女の子と二人っきりでいるところを見られたらたまったもんじゃない。意味も無く人目につかない道を選んでそそくさと家に帰った。 「ただいまー」     
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