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直に見てしまえば、誰でも胸が高鳴りため息を零す。そしてそんな彼女は自分の姿に頓着なぞせず惜しげも無く晒して見せる。
ガーデルマンもそんな彼女にため息をついて、己の体を見て、またため息を零す。
背は高くはない。別段細く締まって均整の取れた体をしているわけではない。強いて言えば、胸囲くらいは平均値を上回っていて、少しだけは自身があるが、それだけだ。
「って! 私も!?」
慌てて兵卒向けの安い布団とは訳が違う、将校向けの羽毛布団で体を隠した。
何故だか。という疑問もさる事ながら、まさか自分はあの少佐と産まれたままの格好で同じベッドで夜を明かしたのか。そんな羞恥刑そのもので過ごしたというのか。
自然発火まで秒読みという状態ですっぽり布団を被り、頭を抱えた。
まさか肉親以外で、それも昨日今日出会ったばかりの人と、それもあの少佐とだ。大参帝国の誇る、柏葉剣付きの騎士十字勲章を空軍少将より持つ彼女に肌を晒したというのか。
もはや何に恥、何を思い懺悔するべきくすら分からない。ただ恐慌状態になりかけながら、悶えるしかない。
「さあ! 可愛い天使、ガーデルマン! 朝だ!」
ばさっと音が聞こえた時には、眩しさに目を閉じていた。そして産毛が感じる空気感は肌に冷たい。
また外気に肌を晒している。そんな事は分かっている。
「朝になったら、まず軽く運動をしよう。それからシャワーを浴びて、出撃だ!」
これを使うと良い、といって運動用の丸首シャツとショートパンツを手に持って来た。かくいう彼女はすでに着替えている。カーキ色のいかにも安く大量にを目的に作られたそれでも、彼女が着れば立ち処に一流運動選手の衣装に見えてしまうのだから天の寵愛はこの人物に注がれていると思われる。
とにかく何か身につけたい一心で渡された服を着て、ベッドから立ち上がる。
下着がなく直接身につけた運動服は、想像以上に心もとない。というよりあちらこちらで大きさが合っていないため不安しかない。服を着れた安心感はどこにもない。
着ていないよりマシ、という話ではないが、無意識に腕組みをしたガーデルマンを一瞥し彼女はその場で準備運動を始めた。
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