透き通る

「…今日、彼女に話してきた」
しばらく笑い合った後、透はそう切り出す。私は驚き二の句が継げないでいた。それと同時に申し訳なさが込み上げる。
「…友達からやり直しましょうって」
私はそっと目を閉じた。…苦しくないと言ったら、嘘になる。でも、それが一番だと思った。
ふいに夕方のチャイムが鳴り響き、反射的に私は目を開ける。…と。
「…」
いつの間にか、目の前に透の顔があった。
お互いの息遣いも聞こえるくらいの至近距離。
私はじっと透の瞳を見つめる。透の瞳の中には、泣き笑いのような表情の自分が映りこんでいた。