第1話「生まれたての僕だから」

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ビカァン。 ビカァン。 ビカァン。 光を浴びる僕。 僕は光の中、思考する。 そう。僕は思いを巡らせる。 ああ…。やはりこれは侵略だ。 この地球の霊長類たる人間。 言うなれば地球人類。 これから地球人類達は、 ポケットティッシュみたいに、 鼻をかんで捨てられるが如くに、 取るに足らない存在へとランクダウンを されてしまうのだろう。 そして僕の体は『浸食』されている。 何だっけ? ビカリット怪光線?? その進化をもたらすとか言う、 『紫の光』を僕は浴びた。 そうして僕は『浸食』されていく。 僕は僕じゃなくなっていくのを感じている。 僕。僕…。僕? 僕ってそもそもなんだ?? 何が僕を僕たらしめるんだ?? そうだな…。 僕は…。 僕は消え行ってしまいそうな自分を、 糸をつむぐように確かにしていった。 ・・・・ 「へけけ!」 「お前代打!!」 「俺が打つ!!」 僕はこの言葉を忘れない。 野球をしてた時だ。 他愛の無い、小学校の休み時間の遊戯。 僕の打順は最後だった。 このグループのリーダーの覚えは悪かったからだ。 だから、打順は最後。 悔しいが活躍を見せるまでは仕方ない。 だから僕は耐えた。 耐えて…。 チャンスに打順に回って来た。 ここで打つ! そうしてリーダーを見返してやる!! その時の言葉がそれだ。 何が…。 何が…! 何が代打だ! お前が打つとはどう言う事だ!! 僕の代わりに打つリーダー!! だが、誰も、その事に対して文句を言わなかった!! リーダーの横暴を止めるのは怖い? いいや、違うね! こいつ等は僕の事などどうでも良いのだ! 全く持って面白くない! ならば、こっちもだ!! こっちこそ、こいつ等の事など、どうでも良い!! 僕は何も言わず、そのグループから去り…。 2度とそのグループとは関わらなかった。 それで良いのだと思った。 ・・・・
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