第1話「生まれたての僕だから」

5/6
前へ
/24ページ
次へ
僕は…。 「……………!」 殺してやろうか? そう思った。 こいつは、僕に殺されるとは、夢にも思っていないんだよな。   ゾ   ク   リ 僕は愉悦を感じた。 背中が腰からうなじにかけて、 むず痒いモノが走るのだ。 殺そう。 殺そう。 殺そう。 教えてやろうじゃあないか。 今お前がクズだと思っている俺(ソイツ)には…。 研ぎ澄まされた『牙』がある。 いとも簡単にお前を亡き者に出来るんだぜ? フフ…。 ウフフフフフフ…。 ああ…。そうか。 この時、僕は消えゆく僕に確かなモノを覚えた。 そうだ。僕は。 毎日。 殺したいと思って生きて来たんだな。 その本性を押し殺すように生きて来たんだな。 死ねば良いのに。 よく言われる言葉だ。 何と消極的な言葉なんだろう? 死ぬだなんて…。いつ起こるか解らない偶然なんかよりも…。 殺してしまえばそれで済む。 そんな殺したいって気持ちを…。 深く…。 深く…! 深く押し殺して、生きて来た!! 押し殺された気持ちは…ッ! 発露されるモノ…ッ!! それが…!今だ!! 僕は僕だ!! 他の誰でもない僕だ!! 浸食なんてされてたまるか…よッ!! ぬぉおおおおおおお お お お お お お ! ! !   ・   ・   ・   ・   ・   ・   ・ ・・・・
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加