AIシミュレーションゲーム

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「本当にお前はAIシミュレーションゲームのこと何も知らんのな、同盟国といっても知られたくない情報もいっぱいあるし、それは日本も同じだからそんなのあり得ない」  彼は機嫌が悪そうに返事をする。 「悪かったな知らなくて、俺はそういう駆け引きとか絡むのは苦手なんだよ。それにAIとはいえ殺し合いとかできるだけさせたくないし……」  AIが可哀想だと彼は言いたいのだろうか? 実に馬鹿馬鹿しい。 「いや、AIに感情とかないしそんなの気にしなくていいでしょ。アメリカの民間人AIが日本の真珠湾奇襲を怒っている様に見えたとしてもそれは外見だけ、中身は何もない」 「そう単純に割り切れたら苦労しないんだけどな……」  AIに関することは意見が別れやすいし、僕としても無理に説得する気はないのでこれ以上は口を出さない。どこか気まずい空気が私達の間に流れるなか彼は少しの間の後、機械の方を見るとこう言った。 「なんかまだ、メーター進んでるみたいだけどいいの?」  機械の方を向く、僕は驚いた。確かにメーターが進んでいるのだ。ゲーム内での地球暦を表すメーターが……。 「え? あれ、なんでだ!? 戦争終結時点で自動的に電源が落ちる仕様のはずなんだけど……もしかしてバグかな……?」  慌てた口調でそう言う僕に彼はメーターを見ながら話す。 「地球暦2000年か……確か実際に日本が独立した年もそうじゃなかった?」  メーターを見るとちょうど2000だった。どうやら時間の進む速度も変わったらしい。しかも早い方に……。頭を掻きつつ僕は言う。 「俺、地球史とってなかったから詳しくないけどそうだったと思う。記憶が正しければその12年後の2012年に東京オリンピックがあったはず」  僕の補足をスルーした彼はメーターを見つめたまま 「てかこれ止まんないけど大丈夫なの?」 と心配そうに言う、他のことを考える余裕がないほど焦っているようだ。どれどれ、と僕は機械を覗いてみる。どうやら爆発したりすることは無さそうだ。そう分かると急にAIだけの架空の世界を見てみたくなる。 「まぁ危なそうだったらコード抜けばいいよ。それに、ちょっと興味出てきたからみてくる」  そう言って僕はまた機械を被る。怖いもの見たさってやつだ。 「2030年より後はやめた方がいいんじゃないか?」  彼は心配するが、そんなことは気にせずに僕はゲームの世界に入る。
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