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sight コーターロー 天使と出会う時
眼を開けると、そこに天使がいた。
『天使のようなきれいな人』とか、『白衣の天使』とか言う意味じゃなく、本当の天使だ。
白くてふわっとした服を着て、背中には真っ白い鳥みたいな羽を生やして、頭の上には天使の輪があるあの天使。
顔立ちは優しげな感じではなく、どちらかというとキツめな感じの美人で、まあ、クールビューティかな?
「コスプレですか?」
尋ねた途端に拳骨で頭を一発殴られた。
すごく痛いよ。
「日下コータロー、あなたは自分に何があったのかを覚えていますか?」
怒られるのかと思ったら、妙に事務的な口調で天使は俺に尋ねた。
自分に何があったか……?
はて?
何だろう?
…………
俺は上目遣いに天使を見ると、肩をすくめて見せた。
まったく分からない。覚えてない。
何でここまで記憶がないのかも、さっぱり思い当たらない。
お手上げだ。
「日下コータロー、あなたは死にました」
「へ?」
「あなたは死にました。私は死の世界からの使者。あなたを死の世界へといざなう為にやってきました」
「へ?」
いきなり何を言ってるんだ?
天使が「あなたは死にました」って……
普通、天使が言うことなの?
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