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「それがルールよ。まあ、たまに地縛霊とか悪霊になるやつもいるし、逆に守護霊なんかになってこっちの世界に留まるやつもいるけど……」
「じゃあ、こっちにいてもいいですよね?」
別に何か未練があるわけではないけど、俺はなんとなくこの世界に留まっていたかった。
生きているうちは仕事して、当たり前のような生活をしていたけど、ただそれだけの生活だった。
別に不満があったわけじゃない。それなりに満足していたつもりだ。
でも、死んでしまって何物にも縛られることがないのなら、もう少し、違った視点で世界を見れるんじゃないだろうか?
ちょっとしたそんな思いつきで俺は聞いてみた。
そんな俺とは逆に天使は急にまじめな顔つきになった。
「あんた、こっちの世界に未練はある?誰かを殺したいほど憎んでる?守らなきゃいけないものは?簡単にこっちの世界に残るなんて言うけど、残るための想いがあるの?いい?あんたは死んだの。こっちに残りたいならそれなりの想いが必要なの!大体、こっちの世界に留まること自体が世界の循環サイクルに反してるの!」
すごい剣幕で怒られた。
この世界に留まりたいっていうのは、どうやらよっぽどいけないことらしい。
諦めるか。
……けど、なんだか諦めきれない。
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