幽霊付きの女

sight ルカ 1 初めての一人暮らし―準備編―

「うわー広い」
　部屋に入ってすぐに、あたしは声を上げた。
　築八年、鉄筋コンクリートの二階。キッチンが四畳半に、八畳と六畳の二部屋。お風呂も足を伸ばして入れるし、トイレとは別。
　これで文句言ったら罰が当たるよね？
「こちらの部屋ですと東南の角部屋ですから、西日の影響も受けませんし、快適にお過ごしいただけると思いますよ？」
　うん、快適に暮らせそう。
　あたしは部屋を見て回った。六畳の部屋には押し入れもあって収納も充分。
　お父さんに言われたとおり床にビー玉を置いてみるけど、転がらない。うん、地盤が傾いてるとか、そういうことはないみたい。
「えっと、これでお家賃いくらでしたっけ？」
　ここいらの相場だったら、下調べしたけど、このくらいの部屋なら八万円ぐらいしてもおかしくはない筈だ。
　さすがにやたらと高い家賃じゃ、いくら仕送りしてもらうって気が引けるし、限度がある。
「はい、ええ……共益費込みで三万円丁度です。はい」
　改めて聞くけど、やっぱり信じられないよね。
　相場の半分以下、下手したら三分の一くらいでこの部屋が借りられちゃうんだ。