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二十年以上前の二十代の頃。
私は、二階建てで四畳半一間の部屋が8つある木造ぼろアパートに住んでいた。もちろん和室で風呂シャワーなし、トイレ共同、半畳くらいの流しがついた今ではほとんど見かけなくなった典型的日本下宿的家賃参万円木造安アパートに住んでいた。
北窓しかなく築50年は経っていた。
兎に角そこはいろんな『モノ』がでた。
夜中の金縛は日常茶飯事、天井には顔のシミが出たり消えたり、ラップ現象は起こるし、なんかの気配がするし…
なかでも──
それは夜中の三時頃。
うだるような熱帯夜、エアコンなどなかったので窓を全開にして、カーテンを開け放し、煎餅蒲団にパンツ一丁で寝ていた。
勿論一人で──
私は何かの気配を感じて目を覚ました。
金縛はない。
と突然、左の横腹のあたりで笑い声がした。
「きゃはは! 」
えっ──?
驚いた私は、声がした辺りに顔を向ける。すると、蒲団の上に何かが──いる。
なんだ? なんだ??なんだ???
窓からさす月明かり、そこに浮かび上がっていたのは──
身長十五センチくらいで頭髪モサモサ、ヒゲモジャ、浅黒い皮膚。
パンツ一丁で立ちすくむ──
『小さいおじさん』だった。
と、おじさん何を思ったか、駆け出した。
左腹から右腹までお腹を──
よ・こ・ぎ・っ・た
そして…消えた。
今も忘れない嘘のような本当の・お・は・な・し──
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