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『 あたらしいおしめ代えて~。ぽん♪ 』
嫁が歌うようにしながら、生まれたばかりの娘の紙おむつを代えている。
『 なにを歌っとるんや 』 こころの中で苦笑したけれど、『 どっかで聴いたことあるなあ ・・・ 』
と、ぼんやり考えた。
しばらく思い出せなかったけれど、
思い出したのは、嫁と同じ布団に入ったときである。
結婚前の、2回目のデートの時、彼女に何か買ってあげたくなって、
肩から掛ける小ぶりなバッグを買ったのだ。
そんなに高いものではなかったけれど、彼女は3回目のデートの時、
その小ぶりなバッグを右肩に掛け、
『 あたらしいバッグ掛けて~。ぽん♪ 』
と、歌うようにしながら、ぴょんっ、と飛び跳ねて、ぼくの前に現れたのだ。
キラキラと嬉しそうな瞳の、結婚前の嫁を思い出し、
ぼくは震えるほど、いとおしくなって、
となりで目を閉じる嫁を、抱きしめた。
びっくりしたように、『 どうしたん 』 と言う嫁の頭を撫でながら、ぼくは、
『 絶対 忘れへんから ・・・ 』 と言った。
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