3.森の触手にご用心

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  「キューッ、キューィ!」  ……あ。あーんな所に触手に捕まっているヘビさんが。  青大将か何かかな? でもヘビってキューって鳴かないよなあ。  なんて考えている間にも、キューキュー鳴いてる蛇は壺に引き寄せられていく。どうやらあの葉っぱの下で蠢いていたのは触手らしく、蛇を大人しくさせる為か長々と伸び、蛇に幾つも絡みついていた。    おいっ、自分の触手ほどもない小さな蛇にそんな数の暴力は卑怯だろう!  教室で女子全員にシメられた記憶がぶり返すからやめろ!!  思わず自分の境遇に重ねて息をのんだ俺に気付いたのか、蛇はうるんだ目でこちらにキューと鳴いて見せた。  うっ、蛇って実は目がまんまるでかわ……いい……?  そんな目で見つめられたら逃げるに逃げられないじゃないか!! 「えー、えー、で、でもどう助けたら……」  髪の毛を掻き乱しながら、俺は必死に蛇を助ける方法を探す。  確か食人植物って、獲物を触手でシメて弱らせてから、ああいう壺の中に取り込んでじわじわと殺すんだよな。  中に消化液が入ってるから、触手で弄ばれてトロトロになった獲物は、中で抵抗も出来ず徐々にドロドロになる……ってエロ漫画でいってた!  いや別に俺はそういう趣味じゃないぞ! 悪友から借りた漫画に載ってただけで別に好きじゃないぞ! 本当だぞ! 仮に好きだとしてもエロの一分類ってだけでそれが主体で好きなわけじゃないからなって何言ってんだ俺!  とにかく、あの植物もそんな構造なら、壺の一部を壊してしまえば消化液が漏れて植物自体が活動出来なくなるかもしれない。  触手に近付くのは危ないから、蛇を助けるとしたらその手段しかないだろう。   「突き破る……そうだ、ぶっとい木の枝とかで突き破ればっ!」   
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