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俺はなるべく先端のとがった木の枝を見つけると、植物めがけて走り出した。
あの壺がどのくらいの分厚さか判らないけど、図体からしてきっとそう防御力は高くないはず。
「ヘビを離せぇえええ!」
ツボ植物よ、世界は常に弱肉強食だしお前がやっている事は悪くない!
だけど、助けを求められて逃げたんじゃ男が廃るんだ。恨むなよ!
俺は思い切り勢いをつけて、完全に油断していたツボ植物のどてっ腹に思いっきり尖った木を突き刺した。
ザクッという、リンゴを切った時のような音がして、枝が食い込む。
「やった…!」
そう思ったが、やっぱり、物事はそう上手くはいかなかった。
ずる、と何かが蠢いて、蛇の拘束が解ける。
手の空いた触手が何を求めて動いたのかなんて、バカな俺でも十分わかりきった事だった。
触手は、ターゲットを俺に変えたのだ。
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