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「キューッ!」
途端、ガクンと触手全体から何かの力が抜けた感覚が伝わる。
乱暴に地面に落とされたが、俺は絡まっていた触手のおかげで怪我を負わずに済んだ。しかし、一体何が起こったのか解らない。
いや、まずは脱出だ。さっさと触手から逃れなければ。
俺はなんとかして手足を拘束していた触手から逃れると、シャツとズボンに入り込んだ重い触手を必死にどかした。
と、そこへ、カサカサと何かが這い寄ってくる。
「キュー」
振り返ると、そこにはこちらを見上げる空色の目をしたさっきの青大将がいた。
説明が遅れたが、青大将っていうのは緑色っぽい大きな蛇のことで、この蛇はかなり大人しい性格をしている。
都会の住宅街には全く出てこないんだけど、俺は昔田舎に住んでたからばーちゃんに教えて貰った事が有るんだ。でも、空色の目をした青大将っていうのはいなかったなあ……。
やっぱりここって、異世界なんだ。
まあ、蛇が鳴くなんて、あり得ないしな。
「どうした、お前」
呼びかけると、青大将はある方向を見た。
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