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5.パートナーは森の蛇(地味)
そんなこんなで、俺には新たな知識と仲間が増えた。
仲間になってくれたのは、最初に助けた空色の目の青大将。
増えた知識は、彼が持ってきてくれる無毒な食べ物に関してだ。
青大将はあれからずっと俺について来て、俺の横を嬉しそうにしゅるしゅると這っていた。最初は帰り道が一緒なのかなと思ったけど、俺が立ち止まると窺うように見上げてくるので、どうやら俺に付き添ってくれてるつもりらしい。
可愛い。帰れと言えるはずがない。
それで暫く同行してると、青大将は俺の腹が鳴ったのを聞きつけて、どこかから食べ物を持ってきてくれるようになった。
最初は躊躇ったけど、食べてみると、味は様々だがどれも食べられない事はない。ヘビの味覚がどうなってるかは解らないけど、青大将にはどうやら毒がない食べ物が解るらしい。これには本当に助けられた。
この世界で何を食べたらいいかなんて、俺には解らないからな。
ちなみにあのツタニンジンは無毒だったが、食べると柿の味がした。普通に美味しかったがなんであんなに放っておかれてるのか謎。
まあそれは置いといて、俺は青大将のおかげでこうして命を繋いでいた。
気付けば空はもう薄く橙色になりかけている。
異世界初日はやはり森で野宿する事になりそうだ。
「うーむ……だいぶ歩いたけど、やっぱまだ森は抜けられないみたいだな……」
「キュ?」
「うん、俺はね、森を抜けたくて……って言っても、通じないかあ」
俺に動物と話せるスキルがあれば苦労もしなかったんだろうけど、無い物を嘆いても仕方がない。俺は神様の加護とやらを受けられなかったんだから。
でも、この青大将はそれなりに俺の事を理解してくれてるのだから、もう少しトライしてみてもいいのかもしれない。
よし、いっちょジェスチャーしてみるか。
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