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「とにかくありがとう、色々助かったよ」
「キュー!」
「……でも流石に、ここでお別れだよな」
青大将は森の動物だし、名残惜しいがこれ以上連れ回すわけにもいかない。
助けた恩はもう充分返して貰った。食べられる森の植物がどういうものかも教えてもらったし。
これ以上して貰うと、バチがあたりそうだ。
そんな俺の気持ちを読み取ったのか、青大将は必死に鳴きながら足に巻きついて来た。もしかして、これって、あれかな。
「俺にずっとついて来てくれるのか?」
「キュキュー」
「俺さ、人間の街とか行くけど、いいの?」
「キュー!」
一生懸命鳴きながら、青大将君は頭をぶんぶんと縦に振る。
こんなに俺にひっついてくれる相手とどうして別れる事が出来ようか。
よし、キミは今日から俺のパートナーだ!!
青大将……じゃなくて、ええと……とりあえずヘビ。
ヘビ、ゲットだぜ!
これから一緒に行くんだったら、ちゃんとした名前を付けてやらなきゃな。
「じゃあ早速名前を決めよう! どんな名前がいいかなー。えーと、じゃあスタンダードにヘビーちゃん」
「ギュー」
「空色の目だからソラちゃん」
「ギュギュー」
「うーん、じゃあ、青大将だけど緑色だから、緑青色でロクショウ?」
「キュ」
お、なんだか反応が良いぞ。
「ロクショー、ロクちゃん、ロク」
「キュキュー!」
略称も続けて読んでみると、青大将ことロクショウは嬉しそうに尻尾を振る。名前の意味とかは多分解ってないと思うんだけど、響きが好きなんだろうか。
まあロクって名前が良いって言うならいいか。
そんなこんなで幸先よくこの世界を知るパートナーを手に入れた俺は、えっちらおっちら夕日に暮れる長い道を歩き始めたのだった。
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