369人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだ、契約してなかったんだな。じゃあただの飼い蛇か」
「契約って……守護獣だとそうなるんですか? 放すのも面倒だったり?」
ファンタジーな言葉が気になってつい問いかけると、相手は怪訝そうな顔をしたがきちんと答えてくれた。
やっぱ微妙に優しいなこの人。
「お前そんな事もしらねーのか。随分とお坊ちゃんだな。契約されたモンスターは守護獣って名称に変わるんだが、そうなってると引きはがすのには契約を解消させなきゃならんのだ。でないと、ずっと付いて来るからな。解消は契約者か契約されたモンスターしか出来ないから、その場合拷問って手もあったが……」
ヒイッ、おまわりさん、やっぱこの人悪い人です!
「まあ、拷問すると奴隷が傷ついて価値も下がるし、やんなくてよかったよ」
「さ、さいですか……」
「さて、これからお前には奴隷の服に着替えて貰うぞ。なに、服はそれなりに綺麗な物を用意してやるし、行先はすぐに見つかるさ。というか、丁度お前にぴったりな所からの注文が来てるんだよ」
カウンターに戻って紙の束をペラペラとめくる店員に、俺はなんだか嫌な予感を感じて恐る恐る訊いてみた。
「あ、あの……俺に相応しい所って……どこでしょう」
まさか強制労働施設だとか、地獄の訓練がある軍隊とかじゃないよな。
ハートマン軍曹みたいなのがいる所はごめんだぞ。
そんな妄想で余計に不安な俺を見て、店員はにやりと笑った。
「安心しろ、ただの娼館だよ」
どこが安心できるんだよ、それ。
→
最初のコメントを投稿しよう!