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えー、本当に読めなかったんだけど、俺にもいつか読めるようになるのかな?
また引きずられながら、リンリンと音のなる扉をくぐる。
この世界の建物って西洋風で、牛乳パックがぎっちり身を寄せ合ってるみたいな感じでレンガの細身な家が連なってるんだけど、中は意外と広い。どうやら幅はないけど奥行はある造りらしい。
物珍しくてきょろきょろと見回していると、質素なカウンターの奥から目つきの悪い女性が出て来た。
「ああ、あんたかい。あっ、待ってたんだよ~」
「おうやっと入って来たぜ。だがな、こいつ箱入りでイチから教えなきゃならん事が色々あるようなんだ。それはそっちできっちりやってくれ」
「あいよ、それはベイリーにやって貰うさ。料金は後でね。ほらおいで」
「じゃあな、坊主」
オッサンがにこやかに手を振るが、俺はそんな爽やかにお別れ出来ない。
っていうか顔怖いよアンタ。笑ってても怖いって凄いよ。色々恨み言とか言うべきなんだろうけど、俺がバカだからかオッサンの笑顔が凄い怖いからか、何を言う事も出来ずに相手が去るのをただ見送るしかなかった。
あとはもうずるずると引きずられるだけである。
俺この世界に来てからというもの、ずっと引きずられてない? 気のせい?
「あんたこの宿の説明聞いてるかい」
「えっと……娼館、ですよね。でも娼館に男っているもんなんですか」
そう言うと、相手は怪訝そうな顔をした。
「よっぽど箱入りだったんだねえ、あんた。街で見なかったのかい、男の二人連れなんて沢山居ただろう」
「え……あれって普通に友達と遊びに出てたとかそういうのじゃ」
「今時神官様でもそんな事言いやしないよ。本当あんたどっから来たのかね。そんなおぼこで今まで襲われなかったのが不思議だよ」
ってことは、この世界では……男同士でイチャイチャするのって、普通なのか?
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