金眼の子猫

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金眼の子猫

 彼女いない歴三年目。  大学生活はそこそこ順調で、こっぴどくフラれたおかげで彼女欲しい願望よりも一人で過ごすか友達と遊ぶ方が楽しい。今日もサークルの飲みだった。  そんな俺が猫と出会いました。  にーっ  にーっにーっにーっ! ふがぁー! 「……ぅお!? 何!?」  普段なら気にも留めない曲がり角に置かれたゴミ箱とゴミ箱の隙間で、くしゃくしゃに丸められたビニール袋と大騒ぎで格闘している小さな猫。  汚い。  砂まみれ、ゴミまみれ、おそらく溢れたジュースだろう液体まみれ。  に。  あ、ヤバい。目が合った。綺麗な金眼だ。  とくん、と心臓が跳ねた。  立ち去ろう。俺がペットなんて飼ったら気になって朝まで飲みに行けないだろうし。ビニール袋とそんだけ元気に遊べるなら大丈夫だろ。強く生きろよ、うん。 「じゃ! 元気で!」 理解してもらえるとも思っていない言葉を投げて、ポケットからタバコを引っ張りだした。 「いや」 「え?」  確かに声が聞こえたと思ったんだ。細い声で「いや」って。  でも。  誰もいない。  どうしてそうなったんだか片耳にビニール袋を引っ掛けた子猫がいるだけ。  空耳、かな。うん。空耳だな。     
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