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「へぇ……お前、神様か」
神様はあんたじゃないか。って言おうとした。
「何だよ、神様って。ただの人間だよ」
「神様だろ? お前達人間はこの世が望んだ神様だろ」
「何それ」
「この世界、思うがままに操ってんのが人間だろ? それをこの世が許してんなら、それは神と同義だ」
「俺からしたら朱雀や白虎、ルナが神様だけど」
人間が神様だなんて、俺からしたら笑える。
殺して、奪って、売って、買って、捨てて。
壊して、作って、壊して。
騙して、憎んで、傷付けて。
そんなのが神様なんてあり得ない。
そんな人間を否定できる程俺も偉くない。
俺も、そんな人間だから。
文明の利器を最大限に利用して、自分が生きる為に他の生命をもらっている。
悲惨なニュースを見たくなくてバラエティー番組にチャンネルを変えて現実を見ようとしない。
俺は、そういう人間。美味しいとこ取りで批判ばっかり上手な、人間。
……頭ん中、ぐっちゃぐちゃになるから、こういう事、考えたくないのに。
「また泣いてんのかよ」
「泣いてねぇよ……?」
ゴツン、と額を合わせられて慌てて視線を戻すと、至近距離で朱雀と目が合った。
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