754人が本棚に入れています
本棚に追加
「勝手に貴方の中を覗いたんです。すみません。ちょっと時間がなくて、強引な事ばかりして、本当に申し訳ないです」
「俺も、ごめん。ガキみたいに……泣いて」
俺の中、全部見られたんだと思うと気恥ずかしいような、逆にスッキリしたような不思議な気分だった。
「ほら」
白虎が指差した先にはベッドの上に仰向けで大の字に寝ている豆柴がいた。子犬独特のポコっと出た腹が可愛い。可愛いけど……
「何で犬なんだよ!?」
起こさないようにコソッと白虎に耳打ちする。
「え? 猫の方が良いですか?」
「そうじゃなくて、ここは鳳凰になるべきトコだろ?」
「ん? あぁ、だから朱雀は役職名ですって。私達は固定された獣に変化するワケじゃないですよ? 小さければ受ける影響が少ないですし、この部屋の深海さんの気を早く溜める事ができますからね、朱雀は子犬を選んだんです。ちなみに私はウサギになりました」
得意そうな白虎にいつ寝たのかと聞くと、俺がコーヒーを淹れにキッチンへ行ってすぐだと言った。
「朱雀がちょっと見てくるって言い残したので、これは少々時間がかかるな、と思いまして。一足お先に深海さんの気を溜めさせてもらいました」
「俺、そんな泣いてた?」
「三十分くらいでしょうか? だから眠ったと言うよりは瞑想していたって感じですね」
最初のコメントを投稿しよう!