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「この世で窒息する……感じでしょうか。あくまでこちらの世界から来た者達に話を聞いた私の感想です。抱えた矛盾を消化できなくて、息苦しくて、生き苦しくて、折り合いなんてつけられなくて。そこで死を選ぶ者もいるようですし、死んだように生きる者もいるでしょう」
俺は多分、自分で死ぬ勇気なんてないから死んだように生きると思う。
ルナに会わなかったら、きっとそうだ。
「だからね、深海さんの魂が間違えてこの世に生を受けたのなら、別に和子の魂と引き合っても何らおかしい事はありませんよね? だって貴方は本来なら郷に産まれるはずだったんですから」
どう思います? と隣に座った俺を見て白虎が笑う。
「多分きっとそうですよ?」
「後半こじつけ?」
そう言って俺も笑ってお茶をすすると、白虎は肩をすくめて
「郷に行けば解る事です」
と俺の頭を撫でた。
白虎の掌は朱雀のより少し小さくて、それでも与えられる安心感は半端なかった。
……ルナと生きられるかも知れない……
それは確実に俺の希望になった。
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