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動き始める
郷へ行くとなったら俺はこの世界ではどうなるのかと白虎に聞いた。
失踪とか。
行方不明とか。
一週間程度は大丈夫だろうと思う。でもそれ以上は少なくとも正樹くんの家庭教師があるし、進路に関して教授からもきっと連絡が来て、俺に連絡がつかないと親に連絡が行く……。
「心残りはできる限りなくして差し上げたいのですが……うーん、こればっかりは朱雀に相談しなくてはなりませんね。親御さんが心配ですか?」
「親っていうか、弟。俺より賢いし、俺がこんなだからさ、すごい期待されてんじゃないかなって。そこに俺が失踪なんかして警察沙汰になんかなったら、親の期待が締め付けに変わるんじゃないかって……最後の最後までダメ兄貴ってのも、ちょっとなって思って」
不思議そうに俺を見る白虎には解っていないようだった。
「親って締め付けるものなんですか?」
「人によるけど、ね。うちの親はけっこう大きな会社に勤めてて、かなり他人の目を気にする人達かな。俺が中学受験失敗してから弟に塾だけじゃなく家庭教師までつけたし。俺と同じ失敗はさせたくないんだと思う」
「ふむ、私なんて子供の頃はずっと野山駆け回ってましたけどね……」
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