752人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
ジタバタ暴れる白虎の動きを寝起きの朱雀が簡単に抑えこんで、チラリと見える白虎の顔は真っ赤だ。
どうにか逃げたい白虎と絶対に逃したくない朱雀の攻防が美しくて、俺は間に入る事も忘れて見惚れてしまった。
「ぅ、う~っぷはっ……起きんかバカ燐! 時と場を考えよ!」
もらったゲンコツのお返し足す少々の白虎の気持ちを朱雀の頭に叩き込んで、朱雀の手が緩んだ隙に大急ぎでベッドから離れた白虎の耳が真っ赤で声がかけづらい。
のそりと起き上がった朱雀は案の定全裸で、着物の上からでは解らなかった見事な肉体を惜しげもなく晒している。
肩や首の骨をポキポキ鳴らして大欠伸をして、まだ寝惚けているのか白虎に殴られた頭を撫でて、なんか痛い……と呟いた。
「那智、殴った?」
「……殴りました。すみません。早く着物を着てください、朱雀!」
どうやら朱雀の名は燐、白虎は那智というらしい。朱雀と白虎が役職名だと言ったのは本当だったようだ。
そして白虎がものすごく焦っている。
「朱雀と白虎って……伴侶?」
「ひぇ!?」
「あ、れ? 深海? あー、ココ深海の部屋だった……」
あー、寝たわー、と満足そうに呟いて、足元の着物を順に身にまとっていく朱雀は
「そ。俺の伴侶、良い奴だろ?」
最初のコメントを投稿しよう!