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本当の名前は伴侶しか知っちゃいけないんじゃ……。
どうしよう、郷に行く前から掟破りをしてしまった。
「大丈夫ですよ。私が直接深海さんに教えたワケじゃないでしょ?」
「そうそう。伴侶二人の話を聞いてりゃ名前も解る時くらいあるって。気にすんな。んで、俺に相談って何?」
手早く着物を着て、ベッドに腰を下ろした朱雀が俺に喉が渇いた、と飲み物の要求する。
なんて遠慮のないヤツなんだろうと思うけど、不思議と腹が立たない。
「時間的にコーヒーはダメだ。緑茶か麦茶か水。どれが良い?」
緑茶美味しかったですよ、とさりげなく緑茶を勧める白虎の言葉に優しい顔をして頷いた朱雀は
「寝ないから、こぉひぃ」
と答えて白虎の頬を少しだけ膨らませた。
俺に関係がバレたからか、俺を認めてくれたからか、二人の表情がより解るようになって、俺はそれがすごく嬉しい。
例えるなら、多分、頼れる兄貴が二人も一気にできたような、そんな感じ。
いい歳した男が泣いてすがっても呆れず受け止めてくれる存在がルナ以外にもできた事が嬉しくもあり、ほんの少しルナに申し訳ないような気もするけど、そこはきっとルナも許してくれるはずだ。
「白虎は?」
「おかまいなく! 朱雀のを横から盗ります!」
「何でだよ!?」
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