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「迷いはないけど、やっぱり不安はあるよ。俺を認めない人達だって当然いるだろうし、俺のせいで二人が文句言われるのは嫌だし。でもルナがいないのはムリだから……迷惑かけます」
「……強引に事を進めているのはこちらですからね。深海さんが頭を下げる必要はありませんよ?」
ぽんぽん頭を叩くのは白虎の手だ。ガシッと掴むように甘やかす朱雀とは違って、小さい子供にするように甘やかす白虎。まぁ三百年以上生きてる人からしたら生後二十一年の俺なんてガキもガキなんだろう。
あの日ルナに出会わなければこの二人とも出会わなかったんだ。
玄関開けた時は新種のホストかと思っーー……
「あ! そうだ! 思い出したんだけどさ! ちゃんと玄関から来たよな! 尾白なんて鍵とか無視していきなり部屋ん中に来たぞ!」
「あーあん時は緊急事態だったからなぁ。俺達もいちいち玄関から~なんて悠長に構えてらんなかったんだよ。逢魔刻も無視だったしな、一刻も早く和子を戻さなきゃいけない状態だったから……本当にすまん」
がばりと頭を下げた朱雀に慌てて煎餅を渡した。
「違うって。責めてるんじゃなくて! びっくりしただけ! いきなり他人が部屋に現れるし、ピンポン鳴らしまくる嫌がらせかと思ったら二人が立ってるし!」
「いや、うん、なんか色々すまん」
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