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「そうだ。親も弟も友達も。お前が知っている人間、少しでも関わった人間の全ての記憶から消える。お前が納得するなら……」
「それで良いよ。ただ今すぐはちょっと待って欲しい。消える前に……話したいヤツもいるし」
俺の持っている物、少しでもムダにならないように譲れるものは譲ってしまおう。
俺の事を本当に心配してくれる友人達にきちんとお礼を言っておこう。
正樹くんには参考書とテキスト類をあげたい。
そう伝えると二人とも頷いてくれた。俺の良いようにしてくれと言われた。
「あ、でもよ、げえむは和子に持って行ってやれよ」
スマホは……バッテリーがなくなれば無意味な物になるだろうけど、なくなるまでルナが喜ぶならそれで良い。
「そうする。ありがとう」
「いや、こっちも今すぐってワケにはいかない。準備が要る。こぉひぃを飲み終わったら俺と白虎は出かけるから、氏神を教えてくれ」
「……知らない」
は? と朱雀と白虎が顔を見合わせる。そして朱雀が大声で笑い出した。
「んだよ、お前! 神様神様言うからよっぽどこだわってんのか、はたまた詳しいのかと思ったら! 知らないって! 本気か!?」
「今は……知らない人間の方が多いよ……きっと」
「あらららら。じゃあ氏神探しからですね。深海さん、さっき私に飲ませてくれたお水、もう一ついただけますか?」
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