ひとつめの嘘

4/11

752人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
「……(りん)のせいですぅ……すぅー」  部屋の灯りを点けたまま寝てしまって、時間の感覚が掴めない。  とりあえず解るのは朱雀と白虎が帰って来ていて、俺の胸と腹の上で、べちょーっと行き倒れ状態で寝てるっていう事だ。  豆柴と黒ウサギを一旦身体から下ろして、両脇に抱え込んでやる。これなら文句はないだろ?  ……良かった、無事に帰って来てくれて。俺の腹の上で行き倒れてくれて良かった。両脇に抱えた二つの体温を感じながら、もう一度目を閉じた。 「おかえり。おやすみ」  返事なんか期待していなかったのに 「はぃ……深海しゃん……」  ちっちゃい黒ウサギが可愛い寝惚け声でむごむごマジメに返事。 「深海、うっしゃい……ぐぅ……すぅー」  豆柴は文句。可愛いから許すけどさ。あったかいし、柔らかいし、寂しくないから許す。  起きたら……“こぉひぃ”なんだろ……? 「……うみ、みうみ……深海!」 「ん? ルナ?」  ゆっさゆっさ、ずいぶん乱暴だな。お腹減ったのかな……?  揺さぶる手の方へ寝返りを打って眠い目を擦る。 「どした? ルナ……お腹減ったか?」 「腹も減った。すまんが起きてくれ」     
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

752人が本棚に入れています
本棚に追加