ひとつめの嘘

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 帝、ルナ、朱雀と白虎、玄武、青龍は郷の管理者としての仕事をしていて、その対価に食べ物や着物が献上されているので、何の問題もないらしい。 「平和な世界だな……」 「そうなるように和子や俺達がいるんだよ」  ぼそりと零した朱雀の口調に隠しきれない誇りを感じた。 「苦情処理係ですよ」  と言ったのは白虎。穏やかな顔でリンゴを(かじ)っている。 「例えば……今年は収穫量が少ないのに朱雀の管理地の人達が去年と同じ交換率でないとダメって言うからなんとかしてくださいって言われたら、私が朱雀の所へ行ってお願いします。朱雀はそれを聞いて領地の人達と話し合いをして、お互い譲れるところで手を打ちます。そんな感じですよ」  なんて簡単に言うけど、絶対に簡単な事じゃないと思う。  少しの量で多くを得たいと思うのは当然の事だと思う。誰も自分だけ損はしたくないだろう? それも一人二人じゃない、郷の全ての人を納得させるなんて至難の技だろう。 「しかし貯金か。深海がこの世から消えるなら深海の金も消えるだろうし……金って郷に持って行けるか?」 「深海さん、お金を見せてくれませんか?」  財布から札を出して二人の掌に乗せると 「ダメだ」  と朱雀が瞬時に答え、俺の手に札が返ってきた。 「そうですね、コレはちょっと……」  と白虎もすぐに俺に渡したばかりの札を返して来た。     
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