痛い記憶

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 俺が贈ったプレゼントの幾つかはわずかばかりの金になっただろう。その金が本命彼氏との旅行のお小遣いくらいにはなっただろうか。 「あの子、ちょっと……止めとけよ」  と何も知らない俺に教えてくれたのは違う学部の同じサークルのヤツ。  世間って狭い。どこにも接点なんてないと思っていた人間が仮想空間で繋がっているなんて。  SNSなんて興味もなくて、アカウントさえ持っていない俺には解らないと思ったのか、彼女の本命が旅行の写真とかキス写真とかアップしてるって教えてくれて、最近彼女にはプレゼント攻撃してくるストーカーがいて、金になりそうな物は売って旅行するつもりだって全世界に向けて発信していると教えてくれた。 「最初はお前がホントに付きまとってんのかと思ったけど、すげぇ嬉しそうに彼女できた時の卒業式の話とかしてたから……こりゃ違うなって。下ネタ振っても真っ赤になって彼女大事にしたいからって言うの聞いて、あ、騙されてる……って……」  すぐには信じなかった。でも、どこかでそうかも、とも思った。  付き合ってるのに彼女が俺の部屋に泊まった事なんてなかったし、来ても一時間もしない内にいつも外に出たがった。ソワソワして……今なら解る。襲われる可能性が無きにしも非ずってヤツだ。     
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